松村昌典の経営百景(2024年9月)
2024/10/07
株式会社エムアイエスの最近の活動について
当社がある山口市では、朝夜が過ごしやすくなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
当社では9月には山口県の補助金である「山口県奨学金返還支援制度創設奨励金」のご相談を多くいただき、そちらでの業務が増えました。この制度は県内中小企業等の人材確保、若者の定着促進を図ることを目的として、奨学金返還支援制度を新たに創設した事業者に対して60万円の支給をする制度です。
さて、今回は上記の「山口県奨学金返還支援制度創設奨励金」に関連するお話をしてみようと思います。
山口県奨学金返還支援制度創設奨励金
昨今は、少子高齢化による働き手の減少により、多くの企業が人手不足になっています。そのため、企業では優秀な人材を確保しようと色々な施策を講じています。その中でピックアップするのが、従業員の奨学金返還支援です。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の令和4年度調査によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学(昼間部)で55.0%、短期大学(昼間部)で61.5%、大学院修士課程で51.0%、大学院博士課程で58.9%となっています。
企業としては、奨学金を学生時代に借りて社会人になって返済する人を対象に奨学金の返済支援のための手当を支給することで、待遇をよくして求人競争力を高めるという流れがありました。
それに対して、2021年からこのトレンドの流れが加速する出来事がありました。それは、企業が日本学生支援機構に直接返済する「奨学金返還支援(代理返還)制度」が新設されたのです。従来は、従業員に対する奨学金返済支援は手当として支給されていたため、従業員が受け取る支援金は課税所得になっていたのですが、この代理返還では従業員の課税所得に算入されなくなるため、可処分所得が増加します。
また、企業としても手当で支給しても日本学生支援機構に代理返還しても全額損金になるため、納税金額に影響は出ません。事務手続きが煩雑になるのですが、代理返還の方が会社全体として税金上メリットが大きくなっております。
また、これに合わせて政府が推進している「賃上げ」のトレンドがありまして、「賃上げ促進税制」の活用もダブルで活用できる可能性があります。この奨学金返還支援額も給与等支給額に充てられるため、要件を満たせれば給与等支給額の増加額の最大45%を税額控除できます。
このように、企業のコア資源である人材の獲得・維持の部分で行政は強力なバックアップをしておりますので、このような政策を十分に活用しながら事業展開していただければとおみます。
本コラムが経営の参考になれば幸いです。