コンテンツマーケティングとは?メリットとデメリットを徹底解説
2024/03/28
コンテンツマーケティングは、数あるマーケティング手法の中でも、見込み顧客との関係性を構築しやすい優れた手法です。
しっかりと取り組むことで、さまざまなメリットを享受できます。
そこでこの記事ではコンテンツマーケティングの概要や必要とされる理由をおさらいした上で、メリットやデメリットをわかりやすくご紹介します。
最後にコンテンツマーケティングで利用される主要コンテンツについても、メリット・デメリットをご紹介していますので、ぜひご一読ください。
この記事を書いた人
松村昌典(中小企業診断士)
株式会社エムアイエス 代表
山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業
大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。
2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。
〈保有資格・認定〉
中小企業診断士
応用情報技術者
〈所属・会員情報〉
山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員
目次
コンテンツマーケティングとは
まずはコンテンツマーケティングの概要や必要とされる理由などについて、確認しておきましょう。
コンテンツマーケティングの概要
コンテンツマーケティングとは、顧客にとって役立つ情報をさまざまなコンテンツを通じて発信することで、顧客との良好な関係性を構築し、売上などの実成果まで繋げるマーケティング手法です。
記事コンテンツやメールマガジン、ホワイトペーパーといった多数のコンテンツを提供し、見込み顧客の獲得はもちろん、問い合わせなどの行動喚起を狙います。
日本では2014年頃から注目され始め、今では数多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組んでいるのです。
参考:
なぜコンテンツマーケティングが必要なのか?
コンテンツマーケティングが求められている理由としては、プッシュ型アプローチの費用対効果が悪化していることが挙げられます。
インターネットやSNSが発達した現代においては、顧客は購買に必要な情報を自ら収集できるため、営業や広告などに対してネガティブな印象を抱く人も増加しました。
そういった状況では広告をはじめとするプッシュ型アプローチに取り組んでも、予算に見合った成果を挙げることが難しくなっているのです。
一方で顧客の情報ニーズに応えるコンテンツを用意し、顧客を引き付けるプル型アプローチの価値が相対的に高まっており、そのアプローチの代表格であるコンテンツマーケティングが注目を集めていると言えるでしょう。
コンテンツSEOとの違い
コンテンツマーケティングと混同されやすい手法に、コンテンツSEOがあります。
コンテンツSEOとは、Webサイトで提供するコンテンツに対してSEO(検索エンジン最適化)を施すことで、検索エンジンからの流入を図る手法です。
当然コンテンツマーケティングで提供する記事コンテンツなども対象となります。
- つまりコンテンツマーケティングの集客効果をより高めるための手法ともいえ、切っても切り離せない関係にあるのです。
コンテンツマーケティングの9つのメリット
ここからはコンテンツマーケティングに取り組むメリットをご紹介します。
メリット①:低予算からでも始められる
コンテンツマーケティングは低予算で始めても、しっかりと効果を発揮する優れた手法です。
とくにコンテンツマーケティングの主軸となる記事コンテンツは、制作にかかる予算や工数が少ないという利点があります。
低予算で制作した記事であっても、質の高いものを提供できれば、優れた集客効果を発揮するのです。
このように制作するコンテンツ次第では、予算を十分に確保できなくても、取り組みはじめられます。
メリット②:効率的な集客の仕組みを作れる
一度質の高いコンテンツを制作してしまえば、追加で大きな予算や工数を投入せずとも、集客などの効果を発揮し続けます。
いわばコンテンツ自体が資産化し、長期にわたって自動的に集客する仕組みとなるのです。
コンテンツの数が蓄積されるにつれて集客効果も高まり、広告運用のように毎日多大な工数をかけることなく、効率的な集客を実現できるでしょう。
メリット③:広告費を削減できる
コンテンツマーケティングの効果が安定し、集客比率における割合が高まるに従い、広告への依存度を減らせます。
その結果、これまで広告に割いていたマーケティング予算を削減でき、その分の予算を新たなコンテンツの制作に当てることが可能です。
コンテンツの認知獲得段階でWeb広告を一時的に利用することはあるものの、継続的に広告を運用する必要はなくなるため、マーケティング全体の投資対効果も高められるでしょう。
メリット④:顧客からの信頼を得られる
コンテンツマーケティングに取り組み、専門的な情報や役立つコンテンツを提供し続けることで、顧客から特定分野における専門家として認識されるようになります。
そのためコンテンツマーケティングに取り組んでいない企業と比べ、購買前から顧客からの信頼を獲得しやすいのです。
その結果、顧客が製品・サービスの購入を検討する際、購入候補に含めてもらえる確率も高まるでしょう。
メリット⑤:未認知顧客との接点が持てる
コンテンツマーケティングにおける記事コンテンツは、コンテンツSEOと組み合わせることで、自社を知らない未認知顧客にも届けられます。
たとえば自社がRPO(採用代行)サービスを提供している場合、「中途採用 コツ」といった検索キーワードに対して記事を用意することで、中途採用に課題を抱える未認知顧客にアプローチできるのです。
このように顧客ニーズや課題を起点にコンテンツを用意しておけば、未認知顧客の検索エンジンからの流入を促すことができるでしょう。
メリット⑥:幅広いエリアの顧客にアプローチできる
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの多くはWeb上で提供するため、自社の拠点があるエリアだけでなく、遠方エリアの顧客に対してもアプローチできます。
英語や中国語などの外国語版のコンテンツを用意しておくことで、海外の顧客も集客することが可能です。
そのため顧客母数を大きく拡大でき、事業の発展にも繋げられるでしょう。
メリット⑦:コンテンツに多数の活用方法がある
コンテンツマーケティングで活用するコンテンツの多くは、単一の役割を持つのではなく、多岐にわたる活用方法があります。
たとえば記事コンテンツもSEOによる集客だけでなく、複数の記事をまとめることでホワイトペーパーや書籍として加工したり、SNSのネタとして利用したりできます。
このように各コンテンツにさまざまな活用方法があるため、マーケティングにおける幅広いシーンで役立てることができるのです。
メリット⑧:リードナーチャリングに活用できる
コンテンツマーケティングは集客だけでなく、リードナーチャリング(顧客育成)にも活用できます。
とくに顧客と定期的な接点となるメールマガジンや、記事コンテンツより専門的な内容を扱うホワイトペーパーは、リードナーチャリング効果の高いコンテンツと言えるでしょう。
各購買プロセスにおける顧客ニーズや悩みを分析した上で、それと対応するコンテンツを網羅して提供することで、認知から購買に至るまでのナーチャリングプロセスを効率的に進められるのです。
メリット⑨:SNSとのシナジー効果が高い
コンテンツマーケティングはSNSとのシナジー効果も高いという特徴があります。
記事コンテンツやホワイトペーパー更新のお知らせを実施したり、インフォグラフィックスを投稿したりと、各コンテンツをSNSアカウントの配信素材として活用できるのです。
またコンテンツ自体の集客効果が低い段階では、SNSによって拡散経路を確保することで、より短い期間で認知獲得を狙えるでしょう。
コンテンツマーケティングの4つのデメリット
メリットを押さえていただいたところで、デメリットについても確認しておきましょう。
デメリット①:効果が出るまでに時間がかかる
コンテンツマーケティングで集客した見込み顧客は、まだ購買意欲が低い場合も多く、購入などの実成果に至るまである程度の時間がかかります。
またコンテンツSEOに取り組んでも、検索結果に上位表示されるまで数か月ほどかかるケースもあります。
とくに立ち上げたばかりのWebサイトでコンテンツを提供する場合は、その傾向が顕著になるため、必要に応じてSNSやWeb広告などを用いて拡散経路を確保しなければなりません。
デメリット②:継続的な運用工数が必要となる
コンテンツマーケティングは効果が出るまである程度の時間がかかるため、中長期での取り組みが前提となります。
コンテンツの制作はもちろん、投稿や効果検証、改善といった一連のサイクルを継続的に回していく必要があり、それに対応できるリソースを確保しなければならないのです。
予算は取り組むコンテンツ次第で抑えられますが、人手や時間についてはどういったコンテンツに取り組むにしても必要になるため、その点は留意しておきましょう。
デメリット③:専門的なノウハウや知見が必要
質の高いコンテンツを作るためには、各コンテンツに関連する専門的なノウハウや知見が必要になります。
たとえば記事コンテンツやホワイトペーパーといったテキストコンテンツを制作する場合、ライティングのノウハウが必要です。
動画であれば撮影や編集に関するノウハウ、イベントであれば企画やトーク力なども必要になるでしょう。
もし社内にこれらのノウハウが不足している場合は、成果を出せずに終わってしまう可能性があるため、外注化などの検討が必要になります。
デメリット④:競合が多い
現在コンテンツマーケティングを展開している企業は多く、Web上にはさまざまなコンテンツが存在しています。
たとえば検索エンジンで「マーケティング とは」と検索すると、さまざまな企業がマーケティングを解説する記事を投稿していることがわかります。
画像:「マーケティング とは」による検索結果ページ
このようにコンテンツマーケティングには競合が非常に多く、業種によってはすでに強力なコンテンツを多数保有している企業と競争しなければなりません。
コンテンツマーケティングのレベルが高い企業のコンテンツと差別化するには、専門的かつ独自性のある知見やノウハウ、アイデアが必要になるでしょう。
主要コンテンツにおけるメリット・デメリット
最後にコンテンツマーケティングにおける主要コンテンツについて、そのメリットやデメリットを簡単に押さえておきましょう。
記事コンテンツ
記事コンテンツはコンテンツマーケティングの主軸となるコンテンツであり、自社製品・サービスに関連したノウハウや情報をブログ記事やコラム記事で提供します。
記事コンテンツのメリット
- Wordなどの文章作成ソフトさえあれば実施できる
- SEOと相性が良く、検索エンジンからの集客を狙える
- 集客効果が中長期にわたって継続する
- 潜在顧客の獲得ができる
記事コンテンツのデメリット
- 集客効果を発揮するまでに時間がかかる
- SEOやライティングのノウハウが必要
- 定期的なブラッシュアップが必要
- 競合コンテンツが非常に多い
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは顧客にとって役立つ情報などをまとめた資料であり、記事コンテンツよりも専門的かつボリュームの多いコンテンツとして提供します。
ホワイトペーパーのメリット
- ダウンロード資料として提供することで、確度の高い見込み顧客を獲得できる
- 顧客育成効果や購買促進効果が高い
- 顧客からの信頼を得やすい
- 営業やイベント用の資料としても活用できる
ホワイトペーパーのデメリット
- 記事コンテンツよりも制作に時間や工数がかかる
- テーマに関する専門的かつ高度な知識が求められる
- 認知獲得効果は低く、拡散経路を別途手配する必要がある
メールマガジン
メールマガジンは自社製品・サービスに関するお知らせや、顧客に役立つ情報などをメール形式で定期的に配信するコンテンツです。
メールマガジンのメリット
- 一度に多くの見込み顧客にアプローチできる
- 顧客との定期的な接点を持つことができる
- リードナーチャリングのメインコンテンツとして利用できる
- メールソフトさえあれば実施できる
メールマガジンのデメリット
- 開封率は平均で20%前後※であり、顧客に届かない可能性がある
- 効率的に運用するにはマーケティングオートメーションなどのツールが必要
- 迷惑メールと認識される可能性がある
- 定期的なコンテンツ制作工数が生じる
※参考:BENCHMARK|平均メール開封率・クリック率レポート (2024年度版) 業種別・地域別(国別)の最新情報
動画コンテンツ
動画コンテンツはYouTubeなどの動画配信プラットフォームを利用し、顧客に役立つ情報や製品・サービスの活用事例などを動画形式で提供するコンテンツです。
動画コンテンツのメリット
- 視聴覚を通じた訴求が可能
- 一度に多くの情報を提供できる
- 顧客の意識に定着しやすい
動画コンテンツのデメリット
- 撮影機材や場所の準備、動画編集などに時間や費用がかかる
- 動画撮影や編集に関するスキルが必要
- 一番伝えたいメッセージがぼやける可能性がある
イベント
自社製品・サービスに関連した顧客課題をテーマとしたセミナーやウェビナー(Web上で行うセミナー)が、代表的なイベントコンテンツとして挙げられます。
イベントのメリット
- イベントのテーマにすでに関心を持つ見込み顧客を獲得できる
- 顧客と直接コミュニケーションを図ることができる
- 記事コンテンツや動画コンテンツへ加工して再利用できる
イベントのデメリット
- イベント企画や会場の手配などに多くの時間や費用がかかる
- イベントへの集客活動が別途必要
- アフターフォローに手間や工数がかかる
プレスリリース
プレスリリースとは、報道機関やメディアに向けて配信する企業の公式情報であり、報道機関が内容に興味を示せば、報道機関の保有するメディアで取り上げられます。
プレスリリースのメリット
- 第三者を通じて顧客に情報が伝わるため信頼を得やすい
- 自社だけでは接点を持つことが難しい見込み顧客の認知を獲得できる
- 無料で活用できるため費用対効果が高い
プレスリリースのデメリット
- 取り上げられるかどうかは報道機関次第
- 報道内容はコントロールできず、自社の意図とは違った形になる可能性もある
インフォグラフィックス
インフォグラフィックスとは、イラストやグラフ、表といった視覚要素を活用し、テーマとなる情報を整理した資料です。
インフォグラフィックスのメリット
- 情報をわかりやすく伝えられる
- SNSでの拡散を狙いやすく、認知獲得効果が高い
- デザイン性に優れるため記憶や印象に残りやすい
インフォグラフィックスのデメリット
- 制作に時間がかかる
- 高いレベルでのデザインスキルが必要
- デザインの仕方次第で誤った解釈をされる可能性がある
コンテンツマーケティングについてよくある質問
最後に、コンテンツマーケティングについてよくある質問をまとめました。
オウンドメディアとはなんですか?
自社が運営するメディアのことを、オウンドメディアといいます。
記事コンテンツや動画コンテンツなど、自社が発信するコンテンツで構成します。企業サイトのコラムコーナーをイメージするとわかりやすいでしょう。
オウンドメディア構築は、企業における信頼性の向上や顧客のファン化に有効です。
記事コンテンツによるオウンドメディアは、戦略的に記事を設計することで高いSEO効果を発揮します。
コンテンツマーケティングとデジタルマーケティングの違いは?
コンテンツマーケティングは、顧客や見込み顧客に有益な情報を提供することで、関係を構築し、購買行動を喚起するマーケティング手法です。手段はオンラインに限らず、紙媒体パンフレットなどのオフラインツールもコンテンツマーケティングに含まれます。
デジタルマーケティングは、ITやWebを活用して集客を行い、売上向上を目的とするものです。Webサイトに訪れたユーザーの属性や行動を分析し、ニーズに合わせた施策を実行します。
コンテンツマーケティングで顧客との関係を築こう
今回はコンテンツマーケティングをテーマに、概要やメリット・デメリットをまとめて解説してきました。
SNSやインターネットが発達した現代において、顧客は製品・サービスの購買検討を行う際、自ら必要な情報を収集できます。
こういった状況におけるマーケティングでは、いかに顧客の情報ニーズに応えられるかが成否を分けるカギになるでしょう。
ぜひこの記事を参考に、コンテンツマーケティングに取り組み、顧客との良好な関係性を構築していただければ幸いです。
株式会社エムアイエスでは、記事コンテンツの制作代行サービスを展開しています。自社内でコンテンツマーケティングに割けるリソースがないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。