ものづくり補助金は個人事業主でも申請できる!採択されるポイントを解説

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等を対象に、革新的な製品やサービスを開発するために必要な設備投資の資金を一部支援してくれる補助金です。対象者には、もちろん個人事業主も含まれています。

本記事では、個人事業主が申請する際の申請要件や注意点、採択されるポイントなどを解説していきます。

※この記事は令和5年12月27日公募開始の、17次締切公募要領をもとに執筆しています。

目次

個人事業主もOK!ものづくり補助金に申請できる条件

個人事業主も、申請要件を満たしていれば、ものづくり補助金の申請が可能です。ものづくり補助金に応募するために必要な点を、以下で詳しく解説します。

中小企業者であること

ものづくり補助金における中小企業者は、中小企業等経営強化法第2条第1項で「従業員数」「資本金」が定められています。しかし数値の上限が厳しく、開発力のある中堅中小企業はものづくり補助金の対象外でした。

国は補助金の効果を向上させるべく、中小企業等経営強化法第2条第5項で定められている「特定事業者」のうち、資本金が10億円未満の事業者も、ものづくり補助金の対象としました。

よってものづくり補助金の対象者は、実質上、下記表の従業員数かつ資本金が10億円未満の事業者となります。

業種常勤従業員数 
製造業、建設業、運輸業500人以下
卸売業 400人以下
サービス業又は小売業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)300人以下
その他の業種(上記以外)500人以下
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)

設備投資をおこなうこと

ものづくり補助金を申請するには、単体価格50万円(税抜き)以上の整備投資を行う必要があります。

設備投資の具体的な内容は、機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用や、補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費などです。

給与支給総額を年1.5%以上あげること

ものづくり補助金の事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる必要があります。

給与支給総額とは、非常勤を含む全従業員と役員に支払った給与、賃金、賞与などのことで、福利厚生費や法定福利費、退職金は除きます。

給与水準が地域最低賃金から30円以上であること

ものづくり補助金の事業計画期間において、事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上にする必要があります。事業場内最低賃金とは、補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金のことです。

最低賃金は毎年上がっているので、毎年最低賃金+30円の賃上げが実現可能なのか、よく検討した方がよいでしょう。

付加価値額を年3%以上あげること

ものづくり補助金の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる必要があります。

付加価値額の計算方法は以下のとおりです。

【個人事業主の場合】

以下の金額を合計します

  • 差引金額(33)
  • 利子割引料(22)
  • 減価償却費(18)
  • 福利厚生費(19)
  • 給料賃金(20)

    ※()内の数字は個人事業主青色申告決算書における該当番号です

参考までに法人における付加価値額の計算方法も記載します。

【法人の場合】

以下の金額を合計します

  • 営業利益
  • 人件費
  • 減価償却費

個人事業主×ものづくり補助金の申請が難しい理由

個人事業主は法人と比較して、ものづくり補助金の採択率が低い傾向にあります。その理由を以下で解説します。

技術面のハードルが高い

個人事業主がものづくり補助金に申請するのが難しい理由として、技術面のハードルが高いことが挙げられます。

ものづくり補助金の審査項目のひとつに「技術面」があり、以下のような視点から審査されます。

●製品やサービスの開発が革新的であるか

●課題に対する解決の方法が明確かつ妥当であり、優位性があるか

●補助事業実施のための技術的能力が備わっているか

個人事業主の場合、法人と比較して事業規模が小さいことが多いため、革新的な事業を行う上での技術的な能力(人材や設備など)があるかどうかが厳しく審査されると考えられます。

資金面で難しい場合が多い

個人事業主は、補助事業実施に必要な資金を準備できないことが多いことも理由として挙げられます。

ものづくり補助金の審査項目には、以下のようなものがあります。

●最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。

●金融機関などから十分な資金の調達が見込まれるか。

ものづくり補助金に採択されたとしても、事業費の1/2~2/3の補助率となるため、自己資金で補わなければならない部分があります。

財務状況が健全であることや、資金をどのように調達するかが審査のポイントです。

体制が不十分である場合が多い

個人事業主が事業を実施する上で、体制が不十分であることも理由として挙げられます。

ものづくり補助金では、補助事業を適切に遂行できるような社内外の体制があるかどうかも審査項目として重要です。その体制とは、人材、事務処理能力、専門的知見などを指しています。

個人事業主の場合、限られた人数の従業員で運営されていることが多いため、補助事業を行うために十分な体制を整えることが難しいと見られやすくなります。

どのような体制で事業を行うのかを事業計画書に明記することが大切です。

個人事業主がものづくり補助金に採択されるポイント

ものづくり補助金に採択されるポイントは、公募要領に記載されている審査項目と加点項目をどれだけ満たすことができるかです。とくに、「技術面」「事業化面」「政策面」の3つ

の審査項目と、加点項目をしっかりと押さえることが、採択への早道といえるでしょう。

保有する技術力をアピールする

審査項目の「技術面」では、補助事業実施のための技術的能力が備わっているかなどが評価されます。

採択されるためには、自社の持つ技術を事業計画書に落とし込み、事業実施に十分な技術力があることをしっかりとアピールすることが重要です。

また、革新性も重要となってきますので、他社と差別化できるような独自性がある事業計画となっているかどうかもチェックしましょう。

資金計画やマーケティング分析が適切なことを示す

審査項目の「事業化面」では、補助事業を遂行できる資金があるかどうかや、製品・サービスの市場性があるかなどが評価されます。

採択されるためには、補助事業を実施するための資金が調達できることを明確化する必要があります。取引銀行などに事前に話をしておき、融資の内諾を得ていることを事業計画書に盛り込むと効果的でしょう。

また、補助事業を行う上でマーケットや市場規模が明確か、市場ニーズがあるかなどを調査し、市場に求められている事業であることをアピールすることが重要です。

地域経済に貢献できることをアピールする

審査項目の「政策面」では、自社の所在する地域や国の経済発展に貢献するような取り組みかどうかが評価されます。

採択されるためには、補助事業を実施することで地域へ国へどのように貢献できるかをアピールする必要があります。例えば、新たな雇用を行う計画にするなど、地域の経済成長につながる取り組みであることを事業計画書に落とし込みましょう。

加点項目があれば記載する

最大6項目について、加点の申請を行うことができます。採択されるかどうかは、加点項目をいくつ申請できるかにかかっています。加点項目が一つもない場合、採択はかなり難しくなりますので、必ず申請するようにしましょう。

加点項目は、以下のようなものがあります。

  • 成長加点…有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者
  • 政策加点…創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)、パートナーシップ構築宣言、健康経営優良法人認定 など
  • 災害等加点…有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者
  • 賃上げ加点等…事業計画期間に、定められた一定以上の賃上げの誓約書を事務局へ提出している事業者
  • 女性活躍等の推進の取り組み加点…「えるぼし認定」を受けている事業者、「くるみん認定」を受けている事業者など

個人事業主がものづくり補助金で採択された事例

個人事業主は採択数が少ないとはいえ、たくさんの個人事業主がものづくり補助金に採択されています。ここでは、山口県内の採択事例をご紹介します。

なかや菓子店(山口県山口市:和菓子製造業)

最新式の包餡機を導入し、生産能力を大幅に改善した事例です。

今まで3人で1日200個の製造が限界でしたが、包餡機の導入により20分で600個のまんじゅうを製造できることになり、大幅に生産性が向上しました。

参考:山口中小企業団体中央会|ものづくり補助金成果事例集

テクニカルカワモト(山口県田布施町:金属製品製造業)

CNC旋盤・自動化システムを導入し、生産性を向上させた事例です。

今まで粗加工、本加工、仕上げ加工の全てを一人で行っていたため製造量に限界がありましたが、CNC旋盤・自動化システムを導入し一部自動化したことで、作業時間の短縮ができ、生産性が向上しました。

参考:ものづくり補助金総合サイト|成果事例のご紹介

17次締切ものづくり補助金の補助率と補助額

17次締切ものづくり補助金の補助金額と補助率について解説します。

補助金額

個人事業主の補助金額は100万円~750万円となっています。年間6%程度の大幅な賃上げを実施した場合は補助金額が引き上げられ、最大1,000万円の補助を受けることが可能です。

参考として従業員数別の補助金額を掲載します。個人事業主の方は「5人以下」の部分をご参照ください。

従業員数補助金額大幅賃上げ実施時の補助金額
5人以下100万円~750万円100万円~1,000万円
6~20人100万円~1,500万円100万円~2,000万円
21~50人100万円~3,000万円100万円~4,000万円
51~99人100万円~5,000万円100万円~6,500万円
100人以上100万円~8,000万円100万円~1億円
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)

補助率

ものづくり補助金の補助率とは、該当事業に対してどのくらいの割合で補助金がもらえるかを示すものです。申請した事業にかかった金額のすべてに対して補助金がもらえるわけではなく、かかった費用のうち定められた割合部分のみ補助金がもらえます。

例.300万円の事業を実施、補助率2/3…最大200万円の補助金

ものづくり補助金については、企業より個人事業主を含む小規模事業者に補助率が高く設定されており、該当事業に対して2/3の割合で補助を受けることができます。

参考として従業員数別の補助金額を掲載します。個人事業主の方は「小規模事業者」の部分をご参照ください。

補助金額が1,500円まで1,500万円を超える部分
中小企業1/21/3
小規模事業者2/31/3
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)

17次締切ものづくり補助金のスケジュール

17次締切ものづくり補助金のスケジュールは以下のとおりです。早めに申請準備にとりかかりましょう。

公募開始令和5年12月27日(水)
申請開始令和6年2月13日(火)
申請締切令和6年3月1日(金)
補助事業完了期限令和6年12月10日(火)
参考:ものづくり補助金総合サイト|公募要領

ものづくり補助金の申請方法

ものづくり補助金の具体的な申請方法について解説します。

申請手順

  1. GビズIDアカウントを取得する

ものづくり補助金は電子申請のみです。申請には「GビズID」という、デジタル庁が発行する行政サービスログインシステムの登録が必要です。複数種類があり、ものづくり補助金申請には「GビズIDプライム」という法人・個人事業主向けアカウントを取得します。

参考:デジタル庁|gBizID

  1. 電子申請システムにログインする

ものづくり補助金総合サイトから電子申請システムにログインします。下記画像①→②の順でクリックします。

  1. 必要事項を入力する

電子申請システムで必要事項を入力し、事業計画書などの必要書類をPDF化したものを添付して、送信します。
審査が完了したら、お知らせがメールで届きます。電子申請システムへログインして、結果を確認しましょう。

必要書類

第17次締切ものづくり補助金申請に必要な書類は以下のとおりです。

【必ず必要な書類】

  1. 事業計画書
    具体的取組内容、将来の展望、数値目標等についてをA4で10ページ程度記載します。様式は自由です。
  2. 補助経費に関する誓約書
    補助事業計画書に記載の事業のみに使用する旨の誓約書を提出します。
  3. 賃金引上げ計画の誓約書
    直近の事業所内最低賃金と給与支給総額を明記し、それを引き上げる旨の誓約書を提出します。
  4. 決算書等
    直近2年間の貸借対照表・損益計算書などが必要です。
  5. 従業員数の確認資料
    個人事業主の場合は、所得税青色申告書の写しを提出します。法人の場合は「法人事業概況説明書」の写しを提出します。

【状況によって必要な書類】

  • 大幅な賃上げ計画書
    大幅な賃上げにかかる補助上限額引き上げの特例を申請する事業者のみ必要です。
  • 金融機関による確認
    金融機関より資金調達を行う事業者のみ必要です。
  • 「再生事業者」であることを証明する書類
    再生事業者のみ必要です。
  • 労働者名簿
    従業員数が応募申請時に21名以上で、従業員数の確認資料が20名以下の場合のみ必要です。個人事業主では必要となる場面はほとんどないでしょう。
  • その他加点に必要な資料
    成長性加点、制作加点、災害等加点、賃上げ加点等を受ける場合であって、添付資料が必要な場合のみ

個人事業主がものづくり補助金を申請する際によくある質問

個人事業主がものづくり補助金を申請する際によくある質問についてまとめています。

個人事業主の給与支給総額の計算方法は?

個人事業主の場合は、以下の計算式を使って給与支給総額を算出します。

給与支給総額 = 給料賃金 + 専従者給与 + その他給与所得科目 + 青色申告特別控除前の所得金額

参考:ものづくり補助金総合サイト|よくある質問

ものづくり補助金は毎年申請できますか?

不採択の場合は、毎年申請できます。

以下の場合は申請できません。

●公募の応募締切日を起点に、10ヶ月以内にものづくり補助金の交付決定を受けた事業者及び応募締切日時点で補助事業実績報告書を未提出の事業者

●過去3年間に、2回以上、本事業の交付決定を受けた事業者

ものづくり補助金は従業員がいなくても申請できますか?

従業員がいなくても申請は可能です。

ただし、申請の際には、従業員を雇い入れた際に賃金引上げをおこなう旨を明記した「賃金引上げ計画の誓約書」の提出が必要です。

まとめ

ものづくり補助金は、個人事業主の方でも非常に活用しやすい補助金です。

ですが、法人と比較すると、採択率が低い傾向にあるというのも事実です。採択のポイントをしっかり押さえた上で、事業計画を立てることが重要です。また、採択されたら本当に実現可能な計画なのか、よく検討しましょう。

当社は、ものづくり補助金について熟知しているプロの中小企業診断士がおりますので、個人事業主の採択のポイントを押さえた相談対応が可能です。

ものづくり補助金の申請をお考えの際には、ぜひご相談ください。

補助金に関するお問い合わせはこちら
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