松村昌典の経営百景(2025年1月)

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松村昌典の経営百景(2025年1月)

松村昌典の経営百景(2025年1月)

2025/02/04

2月に入り、まだまだ寒さの厳しい日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。暦の上では立春を迎えたものの、朝晩の冷え込みは一向に緩まない印象ですので、どうぞ体調には十分お気をつけください。

前回のコラムでも触れましたとおり、当社ではAI技術を活用した業務効率化と、人間にしかできない「顧客や企業への深い理解」に基づくコンサルティングを両立させることで、ビジネスモデルの変革を支援しております。特に、クライアントが抱える課題を丁寧にヒアリングしながら、AIを壁打ち相手として最適な解決策を導き出すプロセスは、これからの時代において欠かせない流れだと感じています。

さて、最近読んだ『戦略ごっこ』という書籍では、従来のマーケティング理論における前提条件や因果関係を、実際の調査結果をもとに整理することの重要性が強調されています。その中で興味深かったのが、“ダブルジョパディの法則”と呼ばれるものです。一般的には「ロイヤルティが高いから顧客数が増える」と考えがちですが、実際には「顧客数が多いから結果的にロイヤルティも高く見える」という因果の向きが逆転しているケースがあると指摘されています。

また、あるカテゴリーのヘビーユーザーとライトユーザーを比較すると、ヘビーユーザーは情報収集やサービス比較に積極的である分、実は価格弾力性が高い傾向がある一方で、ライトユーザーはカテゴリーそのものへの関心が低いため価格弾力性が低いという調査結果も示されています。さらに、既存顧客が必ずしも自社製品をリピート購入してくれるわけではなく、1年間で約50%が他社へスイッチする可能性がある――こうしたデータは、「顧客は当然自社を選び続けるはず」と思い込んでいる企業にとっては大きな警鐘となるでしょう。

このように、既存顧客を中心としたマーケティング施策は安定的な売上を目指せる反面、自社の新規開拓余地が大きい場合には、既存顧客ばかりに注力することで顧客基盤の拡大を阻害する可能性があるという見方もできます。AI時代のマーケティングはともするとデータ分析に偏りがちですが、新規顧客との接点や市場全体を見渡す視点を引き続き忘れてはいけないと感じます。

当社では、昨年11月に立ち上げたYouTubeチャンネルの運用を通じて、新規顧客との接触機会を意識的に増やしています。最近はアンケートを実施し、多くの方にご協力をいただきました。貴重なご意見・ご要望を寄せてくださった皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。アンケート結果をもとに、より皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと考えておりますので、今後ともぜひご期待ください。

また、当社がサポートさせていただいている補助金や助成金については、令和6年度補正で「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)」「事業承継・引継ぎ補助金」などの公募が継続される見通しとなっていますが、具体的な要件やスケジュールはまだ確定していない部分が多いのが現状です。いずれにせよ、公募が始まってからあわてて準備をするよりも、事前に計画や仕様を整理しておいた方が申請作業をスムーズに進められます。

寒さが依然として厳しい折、皆様におかれましてはくれぐれもお身体を大切にお過ごしください。『戦略ごっこ』の内容や今回ご紹介したマーケティングの視点が、皆様の事業運営の一助となれば幸いです。今後も最新の情報や実践事例を発信してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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