家業を継ぎたくない理由とは?後継者の本音と対処法を解説!

お問い合わせはこちら

家業を継ぎたくない理由とは?後継者の本音と対処法を解説!

家業を継ぎたくない理由とは?後継者の本音と対処法を解説!

2024/12/25

事業承継の際には親子間で行われるケースが珍しくありません。

一方で、子どもの中には「家業を継ぎたくない」と考える人も多く、事業承継が難航するケースもあります。

この記事では、家業を継ぎたくない理由を中心に、後継者である子どもの本音や対処法を解説します。

この記事を書いた人

松村昌典

株式会社エムアイエス 代表

山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業

大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。

2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。

〈保有資格・認定〉

中小企業診断士
応用情報技術者

〈所属・会員情報〉

山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員

目次

    家業を継ぎたくない理由とは?

    親の家業を継ぎたくない理由にはさまざまなものがありますが、ここでは、後継者が直面する具体的な課題や心理的な要因を一つひとつ解説します。

    事業の将来性に疑問を感じる

    親が行う事業に対して将来性を感じない場合、子ども側として自らの責任で企業を引き継ぐのは嫌だと考えるケースがあります。

    最近は中小企業を中心に、従業員の人手不足で悩まされ、人手不足倒産に追い込まれるケースもあるなど、業績とは関係ない部分で苦しめられることが増えている状況です。

    製造業など、将来的に事業展開が難しそうな業界も多く、そのことへの不安を抱える若い人も少なくありません。

    現状の職業と天秤にかけた際、今の職業を続けた方が稼げると考えた場合に、家業を継ぎたくないと考えるのは致し方ないでしょう。

    自分のキャリアや夢を実現したい

    今の仕事が楽しい、もしくは将来的にキャリアアップや夢実現に向けて長くその仕事を続けたい場合に、家業を継ぎたくないと考えるようになります。

    今行っている仕事と実家の家業に親和性が乏しいと、どちらかを選択しなければならなくなるでしょう。

    その場合、キャリアアップや夢実現の方が優先順位として上になると、家業を継ぎたくない気持ちが出てきやすくなります。

    特に長く同じ企業で働いている場合、責任ある立場になり、悩みは尽きません。

    事業継承に伴う経済的負担が大きい

    事業承継を行う際の経済的負担が大きいことも、家業を継ぎたくないと躊躇する要因となります。

    家業の自社株式や資産を相続する際、まとまったお金がない場合には借金などをして工面しなければならないケースも出てくるでしょう。

    事業承継に向けた準備を行う中で、こうした可能性を想定しなければならないことに煩わしさを感じる人がいてもおかしくありません。

    引っ越しなどライフスタイルの変化が難しい

    両親の実家が地方にある場合には、事業承継の際にライフスタイルを大きく変えなければならなくなります。

    特に結婚して都市部に住所を置き、自身の子どもを学校に通わせていると、事業承継をきっかけに引っ越しを余儀なくされ、転校の決断をしないといけません。

    自身の子どもの進路や生活を左右する出来事になるため、事業承継をきっかけにライフスタイルを変えるのは厳しいと考える人がいるのは当然でしょう。

    経営者としての自信が持てない

    両親が築き上げた会社を、自分が社長として引き継いでも成長させられないと考え、自信が持てずに引き継ぎを嫌がるケースもあります。

    創業者から2代目に引き継がれ、業績が悪くなるケースは珍しいことではありません。むしろ引き継ぐ前から懸念を抱く姿勢は、ある種立派でしょう。

    先代との価値観や経営方針が異なる

    先代経営者である親との価値観・経営方針が異なるために、引き継ぎを嫌がることもあります。特に親は創業者でもあるため、子どもの経営方針に口を出しがちです。

    子どもの立場からすると、親の口出しがうっとうしく感じられ、事業承継に対して消極的な姿勢につながりやすくなります。

    周囲の目や評価が気になる

    自らが経営者となることで、先代経営者である親や従業員などの周囲の目や評価が気になる点も挙げられます。

    場合によっては自分が子どもの時から社員として働いている人もいるでしょう。その社員を通じて親に会社での様子を伝えられて、色々と密告されるのではないかと不安になるケースも考えられます。

    プライベートが確保できなくなる

    会社員時代はプライベートが確保されており、決まった労働時間を終えれば自由に帰宅でき、休むことも権利として認められていました。

    しかし、経営者となると、決まった労働時間を終えればすぐに帰れるわけではなく、休日もほぼないような状態に追い込まれることも考えられます。

    自営業だと休日も労働時間も自分で決められる一方、社長としての責任がのしかかり、休日にもひっきりなしに連絡が入る可能性もあるでしょう。

    特に親が日々忙しくしているのを見ていると、「自分にはできないかも」と不安になるのは無理もありません。

    家業を継ぎたくないと感じる後継者の本音

    後継者が抱える本音には、家族への愛情や責任感が入り混じった複雑な感情があるでしょう。ここでは、具体的な悩みとその背景について解説します。

    家族や親族からの期待に応えられるか不安

    後継者が抱える不安で大きいのが、家族・親族からの期待に応えられるかどうかです。

    親族間での事業承継は、何らかの期待があるから行われるのであって、時に大きな期待をかけられることもあります。

    一方で、期待を裏切ってしまい、失望されるのではないかと不安になる人もいるはずです。

    「自分の代で一生懸命親が経営した会社を潰してしまうかも」というプレッシャーはかかりやすくなります。

    自分の人生を自由に選びたい

    自分の人生は自分で決めたいと考えている人は、後継者になることを嫌がります。

    後継者になると、自分の意思では決められないことも多く、色々なことに拘束されるイメージを持っているからです。

    「経営者になったら、今やっていることが自由にできなくなる」と不安視し、なるべく後継者に指名されないように仕向けていくケースも見られます。

    経営に必要なスキルや知識が足りないと感じる

    自らの未熟さを実感している人の場合、経営に必要なスキルや知識が足りないと自覚し、後継者に向いていないと思うようになります。

    経営をするにあたり、特別な能力や資質が必要なのではないかと考え、自分以外の家族や外部の第三者が後継者になることを望むようになるでしょう。

    経営をする上でのノウハウを持ち合わせていないなど、足りない部分ばかりが目に付く人は、経営者に向いていないと弱気になりがちです。

    家業を継ぐメリット

    家業を継ぐことにはいくつかのメリットが存在します。それは経営者ならではの魅力や、経営の面白さです。

    ここでは、それらのポジティブな側面に焦点を当てていきます。

    基盤のある会社の経営者になれる

    事業承継により、最初から基盤のある会社の経営者になれるのは大きなメリットです。

    自らが起業した場合、ゼロからのスタートになるので、基盤のある会社に育てていくには一定の時間がかかります。

    また、起業して間もない時期は社長としての収入がほとんどないようなケースは珍しくありません。

    その点、基盤のある会社であれば、一定の収入は得られるため、よほど赤字体質の企業でない限り、生活がいきなり困窮するような事態にはならないでしょう。

    基盤のある会社は安心して経営ができる安定した環境が整っており、リスクは比較的低い中で経営が行えます。

    事業方針を自分で決められる

    家業を引き継ぐため、自分自身の考えで納得のいく事業方針を決められます。

    例えば、既存の事業は残しつつ、先代経営者が今までやってこなかった事業にチャレンジしたり、思い切って止めたりすることも可能です。

    また複数のグループ会社があれば、思い切って第三者に売却することもできます。出勤のタイミングを自分自身で決められることもメリットです。

    家業を継ぐデメリット

    家業を継ぐことにはメリットがある一方で、デメリットも少なからずあるでしょう。ここでは、後継者が直面するリスクやプレッシャーについて解説します。

    廃業・倒産のリスクを負う

    家業を継ぐ場合、自分のせいで会社を廃業、倒産に追い込んでしまう可能性があり、リスクを背負うことが考えられるでしょう。

    廃業・倒産になると従業員を路頭に迷わせるほか、取引先に迷惑をかけることになります。

    特に経験が乏しく、理想の経営者になろうと必死になっている段階だと空回りをしやすく、実務面で失敗してしまうこともあるでしょう。

    先代と比べられるプレッシャーがある

    先代から経営を引き継ぐ場合に避けては通れないのが、先代との比較です。

    前の方がよかったと何かにつけて評価されるため、比較されることへのプレッシャーが自ずとかかります。

    従業員はもちろん、親などの親族からも「お手並み拝見」という感覚で見られるため、プレッシャーから判断を間違える可能性も否定できません。

    家業を継ぎたくない場合に考えるべき選択肢

    家業を継ぐことに抵抗がある場合でも、他の選択肢を考えることで事業や家族への影響を最小限に抑えることが可能です。

    ここでは、家業を継がない選択肢について詳しく解説します。

    親族外承継を検討する

    会社役員や従業員といった親族以外の人物に事業承継を行う「親族外承継」が有力です。

    社内から候補者を見つけ出し、優秀な人材に会社を引き継いでもらうことができるでしょう。

    一方で、事業承継では自社株の譲渡などで資金がある程度必要になり、経営に関心があっても経済的な理由から前向きになれない候補者も出てきます。

    他にも個人保証などの問題点もあるため、親族外承継を目指す際には、事前の根回しや準備が必要です。

    M&Aによる事業譲渡を考える

    親族のほか、社内にも目ぼしい人材がいない場合には、M&Aによる事業譲渡の検討が必要です。

    事業承継をする場合、後継者が資金を工面する時間などが必要なので、計画的に事業承継を目指す際には数年規模のスパンで考えなくてはなりません。

    その点、M&Aは手続きに数年も時間をかける必要がなく、専門家に協力を仰ぐことで、1年程度での事業承継も考えられるでしょう。

    比較的短い期間で完了することも可能で、買い手となる企業がすぐに見つかれば1年以内に承継できる場合もあります。

    一方で、どの企業にM&Aをお願いするか、支援をしてもらうかという点もポイントとなるでしょう。

    事業の縮小や廃業を視野に入れる

    親族外承継やM&A以外では、現在の事業を縮小する、もしくは廃業することも視野に入れる必要があります。

    「子どもに迷惑をかけるぐらいなら、赤字がない段階で廃業をしてしまいたい」と考える黒字廃業も少なくありません。

    実際に廃業を選んだ経営者のうち、7割以上が3年間の売り上げが減少傾向にあり、子どもに借金を背負わせる形で事業承継をせずに廃業を選択しています。

    今の状況を維持するのか、将来的なことを含めて親族と積極的に話し合いを行い、親の理解を得るなどして事業の縮小や廃業に向けて動いていくのも1つの手段です。

    家業を継ぐことに関するよくある質問

    家業を継ぐことに関して、さまざまな疑問が存在します。最後に家業を継ぐことに関して、よくある質問をまとめました。

    家業を継がないのは親不孝にあたる?

    親の家業を継がないことは親不孝にあたるのではないかと考える人も少なくありません。

    実際に親子間で事業承継をする際に、息子や娘が事業承継を決断した理由として、半数以上が廃業をさせたくないという理由でした。

    一方で、親子間で事業承継の話し合いを1度もしていないと答えた割合も、半数近くに及ぶ状況です。

    親子間の事業承継に関して、コミュニケーションを重ねて結論が出されたケースは少なく、継がないことが本当に親不孝になるかは微妙でしょう。

    親子間での事業承継の話し合いはほとんどなされていないため、親子間で認識の違いが生じていると考えられます。

    親不孝なのかどうかを悩む前に、まずは話し合いを重ねることが大切です。

    家業を継ぐストレスを乗り切る方法はある?

    家業を継ぐ以上、ストレスはかかりますが、いくつかの方法で乗り切ることは可能です。

    例えば、新しいことに興味を抱いて新規事業に乗り出すことや新規エリアの開拓、今までしていた仕事との両立を図ることなど、チャレンジを行うことで乗り切る方法があります。

    経営に対するモチベーションを高めることで、不安やストレスは幾分かは解消されるでしょう。

    後ろ向きな悩みよりも前向きなことで悩んでいく中で、自ずと乗り切ることができます。

    まとめ

    親子間の事業承継を巡っては、言い争いをはじめ、激しいやり取りが行われることもあるでしょう。

    一方で、こうしたやり取りを継続的に行うことにより、お互いが納得のいく形での事業承継につながりやすくなります。

    一度も事業承継について話し合わないという状況は、あまりよいことではありません。

    コミュニケーションを重ねて、納得できる道筋を見出し、将来に向けて親子で協力して前向きに解決していくことが求められます。

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。