インハウスマーケティングとは?5つのメリットデメリットと成功のポイントを解説します

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インハウスマーケティングとは?5つのメリットデメリットと成功のポイントを解説します

インハウスマーケティングとは?5つのメリットデメリットと成功のポイントを解説します

2024/06/06

「マーケティング活動について外注を利用しているものの、想定していたような成果が上がらずに困っている」

この記事は上記のようなお悩みを抱えている方に向けて、インハウスマーケティングをご紹介します。

インハウスマーケティングの概要やメリットはもちろん、始め方や成功のポイントまでわかりやすく解説していますので、ぜひご一読ください。

この記事を書いた人

松村昌典(中小企業診断士)

株式会社エムアイエス 代表

山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業

大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。

2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。

〈保有資格・認定〉

中小企業診断士
応用情報技術者

 

〈所属・会員情報〉

山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員

目次

    インハウスマーケティングの概要

    まずはインハウスマーケティングの概要やパターン、注目される背景についてご紹介します。

    インハウスマーケティングとは

    インハウスマーケティングとは、「自社」「組織内」を表すインハウスという言葉が表すとおり、マーケティング業務を内製化することを指します。

    マーケティングには高度なスキルや知見が求められるため、マーケティング業務を外注している企業は少なくありません。

    一方で柔軟性や意思決定の観点から、マーケティングを自社内で完結させた方が都合が良いと判断し、インハウスマーケティングに取り組んでいる企業もあります。

    基本的にマーケティング業務全般においてインハウス化は可能ですが、その中でもオウンドメディア運用やそれに伴うSEO対策、SNSの運用はインハウスで取り組みやすいといえるでしょう。

    インハウスマーケティングのパターン

    インハウスマーケティングと一口にいっても、インハウス化させる範囲によって2つのパターンに分かれます。

    パターン①:ハイブリッド型

    ハイブリッド型はインハウスと外注をバランスよく活用するパターンです。

    自社のリソース状況に応じて、マーケティング業務の一部を代理店などに外注することで、効率的かつ効果的なマーケティング活動を実現できます。

    パターン②:フルインハウス型

    フルインハウス型は、すべてのマーケティング業務をインハウス化させるパターンです。

    あらゆるノウハウが必要になるものの、柔軟かつスピード感をもってマーケティングに取り組めるようになります。

    インハウスマーケティングが注目される背景

    昨今、市場や顧客ニーズの変化の流れは早く、そういった状況の中で効果的なマーケティングを実現するには、時代の変化に素早く対応していく必要があります。

    しかし外注を利用している場合、その座組上、変化への対応が遅くなりがちになってしまいます。そういった背景もあり、インハウスマーケティングに取り組む企業も増えてきたのです。

    マーケティングを支援するツールが発達してきたことに伴い、高度なスキルを持たない人材であっても、マーケティングに従事しやすくなったことも注目される理由といえるでしょう。

    インハウスマーケティングのメリット

    ここでインハウスマーケティングのメリットについて確認しましょう。

    メリット①:意思決定と実行のサイクルをスピーディに回せる

    インハウスマーケティングでは、マーケティングに関わる意思決定から実行に至るまでを自社内で一貫して実施できます。

    そのためマーケティング戦略の立案から実行までの一連のサイクルを、スピーディに回すことができ、市場や顧客の変化にも適切に対応できるのです。

    インハウス化させる範囲が広ければ広いほど、スピード感をもってマーケティング施策を展開できるでしょう。

    メリット②:マーケティングの全体最適を実現できる

    マーケティング業務を外注している場合、「広告運用は広告代理店、コンテンツは制作会社」といったように、それぞれ別の会社に委託するケースも多くなります。

    複数の会社が介入する場合、精度の高いディレクションをおこなわなければ、各施策が個別最適化され、一貫性が欠如したり、相乗効果を発揮できなくなったりする可能性が高いでしょう。

    一方、マーケティングをインハウス化させることで、各施策のシナジーも踏まえながら、全体最適の視点で取り組めるのです。

    メリット③:柔軟に施策を改善できる

    マーケティングで成果を上げていくには、実行と改善のPDCAサイクルを回していくことが欠かせません。

    たとえ外注していてもPDCAサイクルは必要ですが、施策改善などの対応を依頼すると、追加料金がかかるケースや、内容によっては対応してくれないケースも出てきます。

    インハウスマーケティングに取り組んでいる場合、自社の都合や状況に応じて、柔軟かつ速やかに施策を改善できるのです。

    メリット④:ノウハウを社内に蓄積できる

    インハウスマーケティングに取り組むことで、マーケティングに関するスキルや知識、ノウハウなどを社内に蓄積できます。

    外注の場合、マーケティング施策の実行は外部の協力会社のメンバーが行うため、成果を上げたとしても、そのプロセスを経験できるわけではありません。

    しかし自社で行う場合、成功や失敗に至るまでのプロセスも把握できるため、マーケティングに関するノウハウを着実に蓄積でき、成功体験の再現もできるでしょう。

    メリット⑤:さまざまなコストの削減

    外注を利用した場合、外注自体にかかる費用はもちろん、ディレクションや状況確認といったコミュニケーション上のコストもかかってきます。

    その点、インハウスマーケティングではマーケティング施策を展開する予算は必要であるものの、外注費用やコミュニケーションコストを削減できるのです。

    インハウスマーケティングにおける成果が安定化すれば、ROI(Return On Investment:投資利益率)の改善も期待できるでしょう。

    インハウスマーケティングのデメリット

    メリットを押さえていただいたところで、デメリットについても確認しておきましょう。

    デメリット①:マーケティング人材の採用・育成が必要

    インハウスマーケティングでは、マーケティング業務の一部またはすべてを自社内で行うため、これらの業務を高精度で遂行できる人材が必要になります。

    その分、マーケティングにおける高度な専門スキルを持った人材を採用することはもちろん、社内で研修などを実施するなど、人材育成に関わる工数も生じるのです。

    人材を新たに採用する場合、高度なスキルを持つマーケティング人材は採用難易度が比較的高いため、社内体制の整備に難航する可能性があるでしょう。

    デメリット②:ノウハウの属人化リスクがある

    インハウスマーケティングでは、マーケティングに関するノウハウを蓄積しやすいという利点がある一方で、これらのノウハウが属人化するリスクもあります。

    各業務を担当している各メンバーにスキルや知識が蓄積していくものの、ノウハウ共有などの仕組みがなければ、もし担当者が離職した場合、ノウハウごと失うことになるのです。

    結果としてマーケティングにおける成果を再現できずに、危機的状況に陥る可能性がある点は留意しましょう。

    デメリット③:外部の情報を取得しにくい

    外注を利用している場合、協力会社との打ち合わせや情報提供を通じて、マーケティングに関するトレンドや最新情報などを得られます。

    しかしマーケティング業務をインハウス化した場合、外部との接点がなくなり、これらの情報を取得しにくくなるのです。

    受け身の姿勢ではなく、自社から積極的に情報を取りに行こうとしなければ、最新情報をキャッチアップできなくなる点はあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。

    デメリット④:考え方やアイデアの多様性が欠如しやすい

    先のデメリットで触れたように、マーケティングをインハウス化させると外部からの情報や意見が入ってこなくなります。

    その結果、マーケティングに関わるメンバーの考え方における多様性が欠如しやすくなり、新たなアイデアや視点が生まれにくくなるのです。

    マーケティングにおいて問題や課題が生じても、似たような考え方やアプローチしか思い浮かばず、効果的な改善に繋げられないといった事態が生じる可能性もあるでしょう。

    デメリット⑤:費用対効果の悪化リスクがある

    利用している外注先が成果報酬型である場合、マーケティングにおける費用対効果は高くなる傾向にあります。

    しかしマーケティングをインハウス化した場合、仮に結果が出なくても人件費が生じるため、費用対効果が悪化する可能性もあるのです。

    自社のノウハウや知見次第で、外注費用などを含めても、インハウス化することにより採算が悪化するかもしれないため、注意しましょう。

    インハウスマーケティングの始め方

    ここからはインハウスマーケティングの始め方について、4つのステップに分けて解説します。

    ステップ①:マーケティング業務を整理する

    インハウスマーケティングを始めるにあたって、まず実施すべきは自社のマーケティング業務を整理するという点です。

    マーケティングには市場調査や商品・サービスの企画などをはじめ、見込み顧客の獲得や育成など幅広い業務が含まれています。

    これらの業務について、具体的な作業レベルまで棚卸した上で、インハウス化の候補となりうる業務をリストアップしていきましょう。

    ステップ②:インハウス化する業務としない業務の切り分け

    マーケティング業務を整理した後は、インハウス化の対象とする業務としない業務とを切り分けます。

    自社におけるマーケティングノウハウはもちろん、これまでの活動における費用対効果などを踏まえつつ、切り分けていきましょう。

    実際にインハウス化した後のことを想定した上で、インハウス化による効果が高いと想定できるものを抽出することがポイントになります。

    ステップ③:インハウス化する業務の優先順位を決める

    インハウス化の対象業務が決まった後は、各業務の優先順位を決めます。

    仮に対象となっているマーケティング業務を一度にすべてインハウス化すると、マーケティング担当者の負荷が急激に高まり、インハウス化が失敗する可能性もあるため、優先順位づけは重要です。

    インハウス化の難易度や業務の重要度などを考慮しつつ、どの業務からインハウス化すべきか、優先順位を付けていきましょう。

    ステップ④:徐々にインハウス化する

    先のステップで定めた優先順位に基づき、徐々にマーケティング業務をインハウス化させていきます。

    優先度の高いものから、社内の運用体制の構築などと併せて少しずつインハウス化しましょう。

    ただし関連性の高い業務やインハウス化の負荷が低い業務の場合は、いくつか同時並行で進めても構いません。

    インハウスマーケティングを成功させるポイント

    最後にインハウスマーケティングを成功させるポイントをご紹介します。

    BPMの仕組みを取り入れる

    マーケティングをインハウス化する際、併せてBPM(ビジネスプロセスマネジメント)の仕組みや考えを取り入れることがポイントになります。

    BPMは業務プロセスを、業務フローやマニュアルといった形で可視化させ、業務標準化や改善を図る手法です。

    各マーケティング業務を可視化・標準化することで、各業務に関するノウハウを形式知として共有できるため、属人化などのデメリットも防止できるでしょう。

    人材の採用・育成に投資する

    インハウスマーケティングは、マーケティング業務を自社内で完結させるため、如何に優秀なマーケティング人材を確保できるかが成否を左右します。

    そのためマーケティング人材の採用や育成には積極的に投資した上で、社内の人的資源の質を高める必要があるのです。

    ただし先述のとおりマーケティング人材の採用難度は高いため、社内における育成制度なども整備し、既存社員をマーケティングのプロとして育てていくスタンスも重要になるでしょう。

    ツールは積極的に活用する

    マーケティングを効率化させるツールを積極的に活用することで、マーケティング業務の効率化や精度向上に繋げられます。

    とくにマーケティングオートメーションやCRMなどのツールは、顧客情報の管理からメールアプローチの自動化、施策効果の測定といった機能が搭載されているため、インハウス化する上で強力な武器となるでしょう。

    こういったツールに対しても積極的に投資・導入することで、インハウスマーケティングの成功率を高めることが可能です。

    必要に応じてコンサルティングを活用する

    インハウスマーケティングにおける「外部情報を得にくい」という難点を回避するには、コンサルティングサービスの活用がおすすめです。

    コンサルティングは外注とは違い、業務を代行する存在ではなく、自社のマーケティング活動に対して、あくまで外部専門家の立場としてアドバイスや改善策を提示してくれます。

    マーケティングコンサルティングサービスをうまく活用することで、マーケティング活動はインハウス化させつつ、外部意見や情報も効率的に取得できるのです。

    まとめ

    市場や顧客のニーズは刻一刻と変化します。

    今年流行したものが翌年には廃れている、といったことも往々にして起こりうるのです。

    このような変化の激しい状況下では、どれだけスピーディに意思決定を下し、柔軟に対応できるかが重要になります。

    そういった意味で、インハウスマーケティングは現代の企業にとって欠かせない手法と言えるでしょう。

    ぜひこの記事を参考に、インハウスマーケティングの導入を検討してみてください。

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