M&Aで売れる会社とは?売れるようにするコツも紹介

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M&Aで売れる会社とは?売れるようにするコツも紹介

M&Aで売れる会社とは?売れるようにするコツも紹介

2024/06/13

M&A(合併・買収)市場で成功するためには、単に売却を希望するだけではなく、売れる会社としての条件を満たすことが重要です。売れる会社とは、財務状況が健全で、ビジネスモデルが魅力的であり、将来的な成長ポテンシャルが高い企業を指します。

この記事では、M&A市場で売れる会社の特徴を具体的に解説するとともに、そのような魅力的な会社にするための実践的なコツについても紹介します。

この記事を書いた人

松村昌典(中小企業診断士)

株式会社エムアイエス 代表

山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業

大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。

2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。

〈保有資格・認定〉

中小企業診断士
応用情報技術者

〈所属・会員情報〉

山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員

目次

    M&Aで売れる会社の特徴

    M&Aで売れる会社の特徴について、詳しく見ていきましょう。

    安定した利益を出す実力がある

    M&A市場で売れる会社は、安定した利益を出す実力があります。投資家や買収企業は、過去の業績を重視し、持続可能な利益を生み出せる企業を求めます。例えば、過去5年間連続で黒字を計上している企業や、売上高が安定的に増加している企業は高い評価を受けやすいでしょう。

    例えば、過去5年間で毎年平均20%の売上成長を達成しているとしましょう。この企業は、顧客基盤が広く、リピーターが多いことで安定した収益を上げています。また、コスト管理が徹底されており、利益率が高いことも予想されます。このような企業は、買収後も安定した収益を見込めるため、買い手にとって魅力的です。

    事業に将来性がある

    買収企業は、現在の収益性だけでなく、将来的な成長ポテンシャルも評価します。成長市場に属している、革新的な技術を持っている、もしくは社会的ニーズに応じた製品やサービスを提供している企業は高く評価されます。

    例えば、再生可能エネルギー分野に進出している企業を考えてみましょう。この企業は、太陽光発電パネルの設計・製造を行っており、持続可能なエネルギーの需要増加に伴い、将来的な市場拡大が見込まれています。また、この企業は、環境保護に関する規制強化にも対応しており、競争優位性を保っています。このような企業は、成長性が高く、長期的な利益を期待できるため、買い手にとって魅力的です。

    独自の経営資源や権利を持っている

    独自の経営資源や権利を持っている企業もプラス評価となることが一般的です。これには、特許、商標、ブランド価値、専門技術、ノウハウ、優れた人材などが該当します。競争優位性を高め、買収後の成長を支える要素となります。

    具体例として、あるソフトウェア開発会社を考えてみましょう。この会社は、独自のアルゴリズムに基づく特許を取得しており、業界内で唯一無二の技術を提供しています。この特許技術により、競合他社が簡単に模倣できない製品を市場に提供できるため、強力な競争力を持っています。また、ブランド価値も高く、顧客からの信頼が厚いことも特徴です。このような独自の経営資源や権利を持つ企業は買い手にとって魅力的であり、M&A市場で高く評価されます。

    社内体制がしっかりしている

    社内体制がしっかりしていることも評価に大きな影響を与えます。明確な組織構造、効率的な業務プロセス、優れた内部統制システムを持つ企業は、業務の効率性が高く、トラブルのリスクも低いため、買収後の統合がスムーズに進む可能性が高まります。

    具体的な例として、ある製造業の企業を考えてみましょう。この企業は、全社的なERPシステムを導入しており、在庫管理、受発注、財務管理などの業務が効率的に行われています。さらに、ISO認証を取得しており、品質管理体制が確立されています。従業員の研修プログラムも充実しており、全員が高い業務スキルを持っています。このような社内体制の整った企業は買い手に安心感を与えられるため、高値で売れる傾向にあります。

    ノウハウが蓄積されている

    ノウハウとは、業務遂行において培われた専門的な知識や技術、経験を指します。これが企業内にしっかりと蓄積され、共有されている企業は、買い手にとって大きな価値を持ちます。なぜなら、買収後にそのノウハウを活用することで、業務の効率化や新たな成長機会を見込めるからです。

    具体例として、ある製薬会社を考えてみましょう。この企業は、長年にわたる研究開発を通じて、多数の薬品開発に成功しており、その過程で蓄積された知識や技術が豊富です。研究開発のプロセスや、臨床試験の実施方法に関する詳細なデータが体系的に保存されており、新しい薬品の開発にすぐに活用できます。また、製造工程における効率的な方法や品質管理のノウハウも蓄積されています。

    このようにノウハウが蓄積されている企業は、現状の売上と将来の成長の両方が見込めるため大きな魅力があります。

    コンプライアンスが徹底されている

    コンプライアンスとは、法令や規則、企業倫理を遵守することを指します。コンプライアンスが徹底されている企業は、法的リスクが低く、社会的信頼も高めやすい傾向にあります。買収企業にとっても、コンプライアンスがしっかりしている企業は安心感を与え、買収後のリスクを減らすことが可能です。

    具体例として、ある食品製造会社を考えてみましょう。この企業は、食品安全基準を厳守し、HACCP(危害分析重要管理点)認証を取得しています。また、従業員全員が定期的にコンプライアンス研修を受けており、法令遵守や倫理規範について高い意識を維持しています。さらに、内部監査制度が整備されており、不正や違法行為の発見と是正が迅速に行われていることも特徴です。このような企業は、買収企業にとって法的リスクが低く、安心して買収を進めることができるため、買い手から高い評価を受けます。

    自己資本比率が高い

    自己資本比率とは、企業の総資本に占める自己資本の割合を示す指標であり、企業の財務健全性を測ることができます。自己資本比率が高い企業は、借入金に頼らず、自社の資本で事業を運営できるため、財務リスクが低く安定した経営が期待されます。

    具体例として、ある製造業の企業を考えてみましょう。この企業は、自己資本比率が70%を超えており、財務的に非常に健全です。過去の利益を積み上げて内部留保を増やし、積極的な投資を行う一方で、借入金の返済も着実に行ってきました。その結果、借入依存度が低く、経済状況の変動に対しても耐性があります。このような企業は、買い手にとって魅力的です。

    シナジー効果が期待できる

    シナジー効果とは、2つの企業が統合することで、単独では得られない付加価値や効果を生み出すことを指します。例えば、コスト削減、売上の拡大、新たな市場への参入、技術の融合などが挙げられます。

    具体例として、IT企業があるソフトウェア開発企業を買収するケースを考えてみましょう。このソフトウェア開発企業は、独自のAI技術を持っており、その技術をIT企業の既存の製品に統合することで、製品の競争力を大幅に向上させることができます。また、IT企業は広範な販売チャネルを持っているため、ソフトウェア開発企業の製品をより広い市場に展開することが可能です。このように、両社の強みを活かして新たな価値を創出できる企業は、買い手から高く評価されます。

    ワンマン経営ではない

    ワンマン経営とは、経営者1人の判断や意向に依存して企業運営が行われる体制を指します。このような体制は、経営者の交代や引退が企業全体に大きな影響を与えるリスクがあります。一方で、複数人の意見を反映する形で経営されている企業は、持続可能な経営が期待され、買い手から高く評価されます。

    具体例として、あるIT企業を考えてみましょう。この企業は、創業者が中心となって成長を遂げましたが、早い段階から優秀な経営陣を育成し、チーム経営を実践しています。経営陣には、財務、営業、技術開発の各分野に精通した専門家が揃っており、重要な意思決定はチームで行われます。このように、経営者が退任しても企業が安定して運営される体制が整っている企業は、買収企業にとってリスクが低く、魅力的な買収先となります。

    未払い賃金や簿外債務がない

    未払い賃金や簿外債務は、企業の財務状況に不透明さをもたらし、法的リスクを引き起こす可能性があります。買収企業にとって、これらのリスクが存在する企業は避けたい対象です。したがって、財務の健全性と透明性が確保されている企業は、M&A市場で高く評価されます。

    具体例として、ある製造業の企業を考えてみましょう。この企業は、毎月の賃金支払いを確実に行い、従業員に対しての未払いが一切ありません。また、定期的な外部監査を受け、簿外債務の存在を排除しています。全ての債務は財務諸表に明示され、透明性が高く保たれています。このような企業は、買収企業に対して財務リスクがないことを示せるため、信頼感を与えやすい傾向があります。

    市場が拡大傾向にある

    成長市場に属する企業は、将来的な収益増加や事業拡大の可能性が高いため、投資家や買収企業にとって非常に魅力的です。市場の拡大は需要が増加していることを意味し、企業の成長機会が豊富であることを示します。

    具体例として、再生可能エネルギー市場に属する企業を考えてみましょう。この市場は、環境意識の高まりや政府の補助金政策などにより、急速に成長しています。例えば、太陽光発電システムを提供する企業が、近年の市場拡大を背景に売上を大幅に伸ばしています。市場の成長に伴い、同企業の製品需要が増加しており、収益の安定性と将来的な成長が見込まれます。このような市場拡大の恩恵を受ける企業は、買い手から高い評価を受けやすいでしょう。

    業界再編が進んでいる

    業界再編とは、業界内で企業の統合や再編成が行われることです。業界再編が進んでいる業界では、企業間の競争が激化し、効率化や売上増加を求めてM&Aが頻繁に行われます。このような環境では、企業の価値が高まり、売却の機会が増加します。

    例えば、2024年ではインフレの影響もあり、小売業界における業界再編が進んでいます。

    M&Aで会社を売れるようにするコツ

    現時点では売れる見込みがなくても、売れるように企業を成長させたり社内体制を見直したりすることで、将来的に売れやすい企業になれる可能性があります。M&Aで会社を売れるようにするコツについて詳しく見ていきましょう。

    相場価格とのバランスを考慮する

    会社をM&A市場で売却する際は、適切な売却価格を設定することが重要です。相場価格やポテンシャル、付加価値などとバランスがとれた価格設定は買収企業にとって魅力的なため、交渉を円滑に進めるための鍵となります。

    具体例として、あるIT企業が売却を検討しているとしましょう。この企業は、過去3年間で年平均成長率20%を達成し、収益性が高いですが、過度に高い価格を設定すると買い手が敬遠する可能性があります。適切な価格設定のために、業界内の同規模企業の最近の売却事例を参考にすることが大切です。

    質問には誠実かつ迅速な対応を心がける

    M&Aの打診の段階では、多くの質問をされます。これに対して誠実かつ迅速に対応することが、信頼を築き、交渉を成功させるための重要な要素です。情報提供の遅延や不誠実な対応は、買収企業の不信感を招き、取引の中止に繋がる可能性があります。

    具体例として、ある製造業の企業が売却を進めている場合を考えてみましょう。買収企業から、製造プロセスの詳細や品質管理の手順、環境規制遵守の状況などについての質問が寄せられたとします。このとき、すぐに内部の関連部門と連携して正確な情報を収集し、迅速に回答することが求められます。さらに、提供する情報が誠実で透明性が高いものであることを示すために、必要な資料や証拠も添付します。

    十分にアピールする

    M&A市場で成功するためには、会社の魅力を十分にアピールすることが重要です。自社の強みや競争優位性を明確にし、買収企業にとっての価値を伝えることで興味をひきましょう。

    具体例として、あるスタートアップ企業が最新のAI技術を活用した革新的な製品を開発しているとしましょう。この企業は、自社の技術の独自性や市場での成功事例を強調し、製品のデモンストレーションや顧客の成功事例を共有することで、その価値を買収企業にアピールします。また、メディア露出や業界イベントでの発表を通じて、企業の認知度を高めることも有効です。

    財務状況を改善する

    財務状況の改善は、M&A市場での評価を高めるための重要なポイントです。健全な財務状況の企業は買い手にとってリスクが低く、安心して買収できます。

    具体例として、ある製造業の企業が売却を検討している場合を考えてみましょう。この企業は、過去数年間の売上成長率が低迷していましたが、コスト削減と効率化を進め、収益性を向上させました。具体的には、生産工程の見直しや無駄の排除、購買コストの削減を行い、利益率を改善しました。また、借入金の返済を計画的に進め、自己資本比率を向上させました。こうした努力によって、財務状況を健全化し、買収企業に対して安定性と信頼性を示すことができます。

    資産価値を高める

    企業の資産価値を高めることも、M&A市場での評価を向上させるために重要です。資産価値の向上は、企業の実質的な価値の向上を示し、買い手にとっての魅力が大きくなります。

    具体例として、ある不動産投資会社が売却を検討している場合を考えてみましょう。この会社は、保有する不動産の価値を高めるために、リノベーションや再開発を行いました。古いビルを最新のオフィスビルに改装し、賃貸収入を増やすことで資産価値を向上させました。また、立地条件の良い新たな不動産を購入し、ポートフォリオを強化しました。これにより、総資産価値が大幅に向上し、買収企業にとって魅力的な投資対象となります。

    コンプライアンスを見直す

    コンプライアンスの見直しと強化は、M&A市場での信頼性を高めるために不可欠です。法令遵守や企業倫理の徹底は、買収企業に対して安心感を与えます。

    具体例として、ある小売企業が売却を検討している場合を考えてみましょう。この企業は、法令遵守のための内部監査体制を強化し、定期的にコンプライアンス研修を実施しています。さらに、外部の監査機関を導入し、透明性の高い経営を行っています。こうした取り組みによって、法的リスクを低減し、買い手に対して高い信頼性を示すことができます。

    M&Aは専門家に相談しよう

    M&Aを検討する際、買い手だったらどのような会社に魅力を感じるかを考えて戦略を立てることが重要です。

    株式会社エムアイエスは、中小企業庁によるM&A支援機関に認定されており、精度の高いアドバイスの提供が可能です。

    自社でもM&A経験があり、経験に基づいたアドバイスでM&Aを成功に導きます。まずはお気軽にご相談ください。

     

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