中小企業診断士に補助金の相談をするメリット|依頼するときのポイントも教えます

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中小企業診断士に補助金の相談をするメリット|依頼するときのポイントも教えます

中小企業診断士に補助金の相談をするメリット|依頼するときのポイントも教えます

2024/02/14

世の中には、ものづくり補助金などいろいろな補助金があり、大きなものだと補助額1億円というものもあります。中小企業の経営者の方であれば、なんらかの補助金を申請したいと思ったことが一度ならずあるかと思います。ですが、申請しようにもどうすればいいのかわからず、結局断念してしまったことはありませんか?

自分で取り組むには少しハードルが高い補助金の申請は、プロに相談するのが一番です。

今回は、中小企業診断士に補助金の相談をするメリットと、依頼するときのポイントについて、解説していきます。

この記事を書いた人

松村昌典(中小企業診断士)

株式会社エムアイエス 代表

山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業

大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。

2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。

〈保有資格・認定〉

中小企業診断士
応用情報技術者

〈所属・会員情報〉

山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員

目次

    中小企業診断士とは

    中小企業診断士という名称は耳にしたことがあっても、実際に何をする人なのか、イメージがわきにくいと思います。ここでは、中小企業診断士とは何なのか、解説していきます。

    国に認められた経営コンサルタント

    中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。

    具体的には以下のように経営に関わるさまざまな分野に精通しており、多方面から企業分析をおこない、適切なアドバイスを提供します。

    【中小企業診断士の専門分野】

    • 経営戦略
    • 財務会計
    • 人材組織
    • 法律法務
    • マーケティング
    • IT など

    中小企業診断士は「中小企業支援法」等に基づいて経済産業大臣が登録する制度で、コンサルタントを認定する、日本で唯一の国家資格です。

    コンサルタントは、資格がなくても名乗ることができる職業ですが、中小企業診断士は、国が資格を与えたプロの経営コンサルタントなので、非常に信頼性が高いといえます。

    合格率5%の狭き門

    中小企業診断士は、合格率5%という、非常に難しい資格です。社会保険労務士の合格率は6.4%、公認会計士は7.6%、行政書士は13.9%と、他の国家資格と比較しても、狭き門であることがよく分かります。

    【士業別国家試験合格率】

    士業名 令和5年合格率 参考サイト
    司法書士 5.2% 法務省|令和5年度司法書士試験
    中小企業診断士 5.5% 一般社団法人中小企業診断協会|中小企業診断士試験 令和5年度の試験について
    社会保険労務士 6.4% 厚生労働省|第55回社会保険労務士試験の合格者発表
    公認会計士 7.6% 公認会計士・監査審査会|令和5年公認会計士の合格発表について
    行政書士 13.9% 一般財団法人 行政書士試験研究センター|令和5年度行政書士試験について

    中小企業診断士の国家試験は一次試験と二次試験があります。一次試験の合格率は20~30%程度で近年推移しており、二次試験の合格率は20%程度です。

    一次試験は選択式で、経営に関する幅広い分野の知識が問われます。

    【中小企業診断士の一次試験内容】

    • 経済学・経営政策
    • 財務・会計
    • 企業経営理論
    • 運営管理(オペレーション・マネジメント)
    • 経営法務
    • 経営情報システム
    • 中小企業経営・中小企業政策

    二次試験は筆記試験と口述試験が実施されます。筆記試験では中小企業診断士の実務の事例について記述式で出題され、筆記試験をクリアした人だけが口述試験を受験できるシステムです。

     

    中小企業診断士の資格を取得するためには、1000時間もの学習時間が必要と言われています。多くの受験者は社会人として働いているので、通常業務をこなしながらたくさんの知識を身に着けていくのは、並大抵の努力ではできません。

    中小企業診断士は、選び抜かれた人材であるといえるでしょう。

    中小企業診断士に補助金の相談をするメリット

    補助金の申請サポートをおこなうのに必要な資格はありません。誰でも補助金の申請サポートを実施できるため、士業のみならず金融機関や民間コンサルタント会社など、補助金の相談先はさまざまです。そのような中で、中小企業診断士に相談するメリットを解説します。

    経営目線でアドバイスをもらえる

    中小企業診断士は、豊富な知識を駆使して、中小企業の経営にとってベストな方法を考え、適格なアドバイスを行う経営のエキスパートです。

    社会保険労務士は労務関係、行政書士は許認可等の申請関係など、各士業に専門分野があるように、中小企業診断士は経営に関する幅広く、かつ深い知識を持ち合わせているため、多角的に経営を分析・診断し、的確なアドバイスを行います。

    ある事業者が「新しい設備が欲しいからものづくり補助金に応募しよう」と考えて、中小企業診断士にサポートを依頼したとしましょう。中小企業診断士は、多角的に企業を分析しますので、時には依頼者の求める補助金とは別の、その企業に合った補助金を提案することもあります。もしかしたらまったく違う設備のほうが有効であると提案するかもしれません。

    このように「補助金を申請したい」という経営者の思いに対して、単に補助金申請のために事業計画書の作成を支援するのではなく、どうしたら企業の経営課題を根本的に解決できるのかを考えて適切な支援を行う。それが、中小企業診断士の役目です。

    最新の支援制度を活用できる

    ものづくり補助金などの補助金・助成金や、有利な融資制度、税金面での優遇など、中小企業の支援制度にはさまざまなものがあります。このような制度は、毎年同じ内容もあれば、少しずつ変わっていくものもあり、日々の経営に忙しい経営者の方がすべてを把握するのは困難です。

    その点、中小企業診断士は、中小企業の経営に関する専門家として、関連する支援制度について熟知しています。加えて、中小企業診断協会が開催する研修を受講するなどして常に情報のアップデートを行っているため、最新の支援制度を把握しているのが強みです。

    また、国の予算の動きには士業の中でも中小企業診断士が一番敏感だと言われています。新しい補助金の予算案が出された際には、制度が開始される前から情報収集を行っていますので、いち早く補助金を申請することが可能です。

    採択のポイントを捉えられる

    補助金の採択・不採択の分かれ道は、事業計画書の内容と加点項目をどれだけ多く押さえられるかにあります。

    事業計画の内容については、審査員目線でわかりやすく、かつ、説得力があるように根拠をしっかり示して書くことが大切です。といっても、補助金に初めて取り組む経営者や現場担当者の方が事業計画書をうまく書こうとしても、お手本がない状態で一から書き上げるのは、非常に難しいでしょう。

    中小企業診断士の中には、数十件、数百件もの補助金の支援実績がある人もいます。どのような事業計画書であれば採択されやすいか、ポイントを熟知しているため、採択に向けた的確なアドバイスをもらえるのは強みです。

    経験豊富な中小企業診断士は、加点項目についても詳しく理解しています。加点項目は採択には必須ですので、中小企業診断士に相談するメリットといえるでしょう。

    中小企業診断士と行政書士の違い

    補助金を検討する際に相談先としてよく挙がるのが、中小企業診断士と行政書士です。両者にはどういった違いがあるのでしょうか。

    中小企業診断士は、経営戦略、財務会計、人材組織、法律法務、マーケティング、ITなど、経営に関わるさまざまな分野に精通している経営のプロです。

    一方、行政書士は、行政に提出する許認可等の申請書類の作成代行を行うなど、書類作成のプロです。

    補助金申請の際には、事業計画書において、自社の現状や市場の分析を行い、その上で補助事業に取り組むことで得られる成果を、データなど根拠を示して審査員にわかりやすく伝える必要があります。事業計画は、絵に描いた餅では何の意味もありませんので、会社の経営状況や市場のニーズなどを踏まえた上で実現可能な計画を立てることが重要です。

    経営についてプロのコンサルタントである中小企業診断士であれば、より実践的で、実現性の高い事業計画を立案できますので、採択される可能性が高まります。

    採択された後も、経営目線で事業推進のサポートができるので、より有効に補助金を活用でき、経営改善や事業拡大がかなうのです。

    補助金の相談先を選ぶポイント

    補助金の相談先は、会社の命運を左右するかもしれない大事なところです。ここでは、補助金の相談先を選ぶ際に失敗しないポイントについて、解説します。

    採択後のフォロー体制があるか

    補助金申請は、採択されてから補助金を受け取るまでに、さらに複数の書類を提出しないといけないことが多くあります。補助金を無事受け取った後も、数年にわたって事業の状況を報告しないといけない場合もあるため、採択されたらそれで終わりというわけにはいきません。

    ものづくり補助金を例に挙げると、採択されてから補助金交付までに、「交付申請書」「遂行状況報告書」「実績報告書」の、3種類の書類提出が必要です。さらに、事業完了後5年間は、事業の状況を報告する義務があります。

    それらを怠ると、採択はされても補助金をもらえなかったり、補助金の返還を求められたりするなど、ペナルティが発生するリスクがあります。

    ですので、採択後も持続的にフォローをしてもらえる相談先を選ぶようにしてください。

    補助金申請にかかわる実績があるか

    補助金の申請支援をしている専門家は多いですが、それぞれ得意とする分野が違うこともあり、必ずしも全員が事業者の求めている補助金の支援に長けているというわけではありません。採択されやすい事業計画書を作成しようと思うと、相応の経験が必要になります。

    そのため、必要としている補助金の支援経験が豊富で、かつ採択実績が多い相談先を選ぶようにしてください。

    中小企業診断士であれば、経営のプロとしてさまざまな補助金を把握していますし、さらに支援経験が豊富な診断士であれば、今まで採択されてきた実績に基づいたアドバイスをもらえるため、より採択に近づくことができるでしょう。

    料金体系は適切か

    専門家に支援を依頼する際、経営者の方がとくに気になるのは、報酬についてではないでしょうか。

    料金体系としては、「着手金+成功報酬」のパターンと「成功報酬のみ」のパターンが多く、後者の方が成功報酬の割合は高く設定される傾向にあります。

    採択されなかった場合における再申請の料金体制についても確認しましょう。再申請支援を提供していない業者に依頼すると、着手金と成功報酬が安かったとしても、採択されなかったら着手金が丸々無駄になってしまいます。不採択の際に再申請の支援をしてくれる専門家であれば、追加で経費がかからずに再チャレンジできるため、不採択時の対応は重要なチェックポイントです。

    注意が必要なのは、相場よりも高額な報酬を要求する悪徳業者の存在です。そういった業者に当たってしまうと、着手金を支払ったけど思うような働きをしてもらえなかったり、補助金をもらえたとしても割高な成功報酬を要求されたりと、残念な結果になりかねません。

    補助金申請を依頼する前に、複数の業者を比較検討するなど、よく調べるようにしてください。支援実績が豊富な専門家の場合は費用が比較的高いケースもありますが、それは実績に基づいたものですので、決して安ければいいわけではありません。金額と実績を見比べて、自身が納得できる料金体系であるかをしっかりと確認し、契約しましょう。

    中小企業診断士に補助金申請サポートを依頼するときのよくある質問

    最後に、中小企業診断士に補助金申請サポートを依頼するときの、よくある質問について解説します。

    補助金申請代行業者って違法ではないの?

    結論からいうと、中小企業診断士が補助金申請代行サポートをすることは違法ではありません。安心して依頼しましょう。

    ただし、中小企業診断士が補助金の申請書類の作成をまるまる代行をすることは違法にあたります。なぜなら、補助金の申請書類作成は行政書士の独占業務だからです。

    (業務)

    第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

    (業務の制限)

    第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

    2 総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。

    引用元:e-Gov法令検索|行政書士法

    補助金によっては、提出書類を事業者みずからが作成することが義務づけられているものもあります。自分で書類を作成することが義務付けられている場合は行政書士に書類作成を依頼するのもNGなため、補助金申請代行を依頼する際は確認が必要です。

    中小企業診断士に補助金申請サポートを依頼するときの報酬相場は?

    補助金にもよりますが、以下が報酬の相場となります。

    【着手金+成功報酬の場合】

    着手金10万円~15万円+成功報酬10%

     

    【成功報酬のみの場合】

     

    成功報酬15%~20%

    補助金を最大限に活用したいなら中小企業診断士へご相談を

    補助金は、あくまで会社をより成長させるための手段の一つであり、補助金をもらうこと自体が目的ではありません。そこを見誤ってしまうと、補助金をもらえたとしても、期待した成果につながらないという結果に陥りかねません。

    重要なのは、補助金をどのように活用し企業を発展させていくかです。経営全般について相談ができ、実践的なアドバイスをもらえる中小企業診断士は、中小企業にとって心強い味方となるでしょう。

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