【中小企業省力化投資補助事業】補助金額や支援対象を解説します

お問い合わせはこちら

【中小企業省力化投資補助事業】人手不足対策の大型補助金について最新情報を公開

【中小企業省力化投資補助事業】補助金額や支援対象を解説します

2023/12/20

中小企業省力化投資補助事業は、令和5年度補正予算において中小企業等事業再構築促進事業を再編したもので、大変注目度の高い補助金です。

多くの業界で人手不足が問題となっている中で、IoTの力で省力化を目指し、ひいては生産性向上につなげることを目的としています。

このコラムでは、中小企業省力化投資補助事業についてわかりやすく解説します。

※この記事は令和6年4月30日時点の情報をもとに作成しています

この記事を書いた人

松村昌典(中小企業診断士)

株式会社エムアイエス 代表

山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業

大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。

2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。

〈保有資格・認定〉

中小企業診断士
応用情報技術者

 

〈所属・会員情報〉

山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員

目次

    中小企業省力化投資補助金の概要

    中小企業省力化補助金について概要を解説します。

    参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構|中小企業省力化投資補助金公式サイト

    中小企業の人手不足解消を目的とした補助金

    「中小企業省力化投資補助事業」とは、人手不足に悩む中小企業等を対象に、省力化につながる投資に対して補助金を出す、というものです。生産性向上やITによる業務効率化で間接的に人手不足にアプローチする補助金はありましたが、人手不足解消を目的とした補助金は今回がはじめてです。

    中小企業等事業再構築促進事業を再編する形で実施され、予算の1,000億円に加えて事業再構築補助金の基金4,000億円も活用され、計5,000億円の大型補助金となっています。

    予算も大きく、2024年4月に労働基準法が改正されることもあり、国を挙げて働き方の見直しをおこなう中で注目度の高い補助金といえるでしょう。

    参考:経済産業省:令和5年度補正予算の概要

    カタログから必要な製品を選ぶ「カタログ式」

    省力化につながる投資として、様々なIoTやロボットの導入が考えられます。どんなものでも補助対象になるわけではなく、あらかじめ製品がリストアップされた「カタログ」から、自社が必要とする製品を選択し、補助金に応募するようになります。

    製品カタログは下記をご参照ください。

    参考:中小企業省力化投資補助事業 製品カタログ

     

    事業再構築補助金の切り替え事業

    2021年、コロナ禍で売上が減少した中小企業等を対象に、今までの事業を転換して業績回復に取り組むための取り組みを補助する「事業再構築補助金」が始まり、現在も継続されています。

    今回の「中小企業省力化投資補助事業」は、事業再構築補助金を再編する形で、省力化投資補助枠(カタログ型)という類型として実施されます。

    従来の類型では、設備導入、内装工事、システム開発など様々な事業に活用でき、事業計画の内容により採択されるかどうかが問われましたが、今回の「中小企業省力化投資補助事業」は、カタログから導入するものを選択するという事業であり、他の応募者と申請内容の差がつきにくいため、採択率は高いのではないか、と予測しています。

    中小企業省力化投資補助事業の対象者と補助金額

    中小企業省力化投資補助事業の対象者や補助金額について解説します。

    参考:中小企業省力化補助事業 公募要領

    補助対象者

    発表されている補助対象者は下記のとおりです。

    • 人手不足の状態にある中小企業・小規模事業者
    • 補助事業をおこなうことにより、事業終了後1~3年で従業員1人あたりの付加価値額が平均3%以上増加する見込みの事業計画を策定する

    参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構|「中小企業省力化投資補助事業」に係る事務局の公募要領

    さらに下記で解説する、賃上げによる補助上限の変更を適用する場合は、交付申請時点で賃上げ計画書を従業員に表明する必要があります。

    補助金額と補助率

    中小企業省力化投資補助金の補助率は、一律1/2です。補助上限額は従業員数によって違います。

    【中小企業省力化投資補助事業の補助金額】

    従業員数 補助率 補助上限額

    (大幅な賃上げをおこなう場合)

    5人以下 1/2 200万円

    (300万円以下)

    6~20人以下 500万円

    (750万円以下)

    21人以上 1,000万円

    (1,500万円以下)

    大幅な賃上げの要件(以下、「賃上げ要件」と表記)は、下記2項目です。

    • 事業所内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
    • 給与支給総額を年率平均6%以上増加させること

    この2つを交付申請時に宣誓すると、賃上げ要件を達成したとみなされ、補助上限額が引き上げられます。宣誓したものの実行していないことが判明した場合、補助金の増額分の返還を求められますので、注意が必要です。

    下に、従業員数が15人の会社をモデルに、補助金支給額の例を記載しました。

    【従業員数が15人の事業所の場合】

    補助事業にかかる費用 補助率 補助金額 手出し金額 補助金額
    賃上げ要件なし 1,000万円 1/2 500万円 500万円
    賃上げ要件あり 1,000万円 500万円

    ※補助率は1/2のため、750万円補助とはならない

    500万円
    賃上げ要件なし 1,500万円 500万円

    ※補助上限額が500万円のため、1/2の補助は出ない

    1,000万円
    賃上げ要件あり 1,500万円 750万 750万円

    成果目標

    付加価値額の増加、従業員一人当たり付加価値額の増加等を目指す、とされています。

    人手不足解消に着目した補助金のため、この事業で省力化できるような汎用製品を導入することで、付加価値額を増加させ、売上拡大や賃上げにつながることが期待されています。

    中小企業省力化投資補助事業の申請方法

    中小企業省力化投資補助事業の申請について解説します。

    公募スケジュール

    申請スケジュールはまだ未定です。中小企業省力化補助事業公式サイトで発表される予定となっています。

    中小企業省力化補助金は令和8年9月までの間に15回の公募が予定されています。現行の事業再構築補助金のように複数回実施されるため、不採択でも何回かチャレンジすることで補助金獲得の可能性が高くなるでしょう。

    その他詳しいことが発表され次第、随時更新します。

    募集方法

    中小企業省力化投資補助金は「カタログ式」という方法をとることが決定しています。

    従来のように自分で機器を選定して見積書を提出する方法ではなく、カタログに掲載されている機器のうち、自社で導入したい機器を取り扱っている事業者を指定する方法となる見込みです。

    申請方法

    電子申請システムでの申請となります。「gBizIDプライム」アカウントが必要となりますので、アカウントを持っていない人はgBizID公式サイトより事前に取得しておくとスムーズです。

    業種別活用例

    最後に、中小企業省力化投資補助金について業種別の活用例を挙げます。

    飲食業・宿泊業・介護業界などサービス業

    飲食業・宿泊業・介護業界などサービス業では、清掃や接客を自動化するためのロボットの導入が想定されます。

    清掃ロボットは多くのサービス業で活用できますし、配膳ロボットや受付業務を自動化するロボット・仕組みもすでに導入されているケースが増えており、少ない人手で営業することが可能となります。

    また、人手不足が顕著な介護業界においても、介護ロボットの導入が有効で、高齢者の見守りやコミュニケーションをロボットにさせることで、介護業務の効率化を図ることができます。

    物流業界

    物流業界は、インターネットショッピングの普及等により物流量が増加しており人手不足問題がとくに顕著な業界です。

    大量の荷物を自動で運搬したり積み下ろしたりするロボットなどの導入が想定されます。人の3~4倍働くと言われているものもあり、人手不足の解消に高い効果を発揮します。

    建設業

    建設業では、建設資材の運搬ロボットや、人が搭乗せずに遠隔操作できる重機、高所で自律的に作業を行えるドローンなどの導入が想定されます。

    建設業でこれらを導入することにより、省力化はもちろんのこと、危険が多い建設現場での作業をロボットにさせることで、現場の安全性を高めることができます。

    農業

    農業では、自動走行農業ロボットや収穫ロボット、農薬散布等を行う農業用ドローンの導入が想定されます。農業は非常に高齢化が進んでいる業種で、若い人の新規就農もあるとはいえ、それでは追いつかない状況のため、ロボットやIoTを活用したスマート農業に取り組むことで、人手不足解消が期待できます。

    人手不足解消には「中小企業省力化投資補助事業」

    この「中小企業省力化投資補助事業」は、従業員5名以下の小規模事業者から活用することができ、カタログから省力化につながる汎用製品を選ぶというわかりやすい補助金です。

    業種を問わず人手不足に悩んでいる事業者の皆さんにとって、非常に使いやすい補助金であると思います。

    今までも人手不足の問題は根強くありましたが、2024年にはさらに深刻化すると言われており、人手不足への対策は喫緊の課題となっています。

    この補助金、うちでも使いたい・・・

    少しでもそう思われた方は、ぜひ当社へご相談ください。

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。