Webマーケティングが果たす役割とは?BtoBでリード獲得を加速
2024/03/30
BtoBでは取り扱う製品やサービスの専門性が高く、潜在ニーズを掘り起こすには受動的なリーチだけでなく、能動的なリーチが必要です。Webマーケティングは企業ブランドや製品情報を能動的に発信することで、広範なターゲットに対するオーガニックな視認性を高め、リード獲得の裾野が大きく広がります。
本記事では、BtoBにおけるWebマーケティングの役割、具体的手法、成功のポイントをわかりやすく解説します。
この記事を書いた人
松村昌典(中小企業診断士)
株式会社エムアイエス 代表
山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業
大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。
2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。
〈保有資格・認定〉
中小企業診断士
応用情報技術者
〈所属・会員情報〉
山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員
目次
Webマーケティング概要
Webマーケティングは、WebサイトやSNSなどのデジタル媒体を活用し、商品・サービスの認知拡大や販売促進を図る戦略です。ターゲット層の分析を実施した上で、顧客にマッチする施策を組み合わせることで、プロモーション効果を最大限に発揮できます。
【Webマーケティング施策の例】
SEO対策による検索上位表示
- 広告配信
- ホームページの改善Webマーケティングが注目される背景
ポイント項目 | 導入で期待できる効果 |
---|---|
インターネットの普及 | 広範囲の顧客にアプローチ可能 |
デジタル化の進展 | デジタル社会への適応力向上 |
データ駆動 | 高度な顧客分析と施策立案 |
ターゲティング能力 | ニーズにマッチした訴求が可能 |
コストパフォーマンス | 低コストで高い投資対効果 |
Webマーケティングはインターネットの普及や顧客のデジタルシフトに伴い、注目度が高まっています。また、データ駆動、顧客ターゲティング、コストパフォーマンスの面でも大きな魅力があります。
インターネットの普及
インターネットの普及に伴い、企業がWebサイトやSNSなどを活用して商品・サービスを広くPRできるようになりました。国内のインターネット普及率は80%以上と高く、オンラインプロモーションの重要性が高まっています。
デジタル化の進展
社会全体でデジタル化が進み、人々の生活様式や購買行動がオンラインへと大きくシフトしています。新型コロナ禍で非対面ビジネスが一般化したこともあり、企業はデジタルドメインでのプレゼンス強化が急務となっています。
データ駆動
Webマーケティングはデータ駆動の取り組みです。顧客の行動データはオンラインでタイムリーに収集・解析が可能です。綿密なデータ解析は、的確なマーケティング施策立案やPDCAサイクルにつながります。
ターゲティング能力
Webマーケティングでは、Web上でのオーディエンス履歴に基づき、細かいターゲティングが可能です。ピンポイントで狙ったターゲット層にアプローチできるため、限られたリソースを無駄なく活用できます。
コストパフォーマンス
従来の広告と比べWebマーケティングは低コストで実施でき、広告効果の測定も容易です。投資対効果が高いことから、スタートアップやSMEでも注目度が高まっています。
デジタルマーケティングとの関係
マーケティング戦略全般で俯瞰した場合、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一つの手法として位置付けられます。Webマーケティングは、主にWebを用いたマーケティングであり、アプリ広告や街頭の3Dサイネージ、メタバースでの宣伝などは含まれません。ただし、WebARなどの技術も実用化が進んでいることから、XRの活用はWebマーケティングでも重要になりつつあります。
BtoB企業がWebマーケティングを導入するメリット
メリット | 説明 |
---|---|
長期のセールスサイクルに対応 | ・潜在顧客の行動データを継続収集
・顧客の関心のタイミングで最適なコンテンツ提供 ・長期に渡る商談プロセスをサポート |
複雑な意思決定プロセスの効率化 | ・経営層、技術者、購買担当者ごとに最適コンテンツ
・ステークホルダー別の疑問に応答 ・全体の理解促進と合意形成を円滑化 |
顧客の理解促進 |
・ハウツー動画での視覚的理解をサポート ・FAQでの疑問への回答 |
グローバルな事業展開 | ・言語の壁や地理的制約を克服
・世界中の潜在顧客への一元的アプローチ ・海外でのSNSを活用したリーチ |
ニッチ市場でタッチポイント増加 | ・従来メディアが手薄なニッチ領域でWeb活用
・検索を起点とした顧客とのタッチポイント創出 ・ロングテール需要の掘り起こし |
BtoB企業は一般的に、製品の専門性が高く、販売サイクルは長期に渡ります。Webマーケティングでは、継続した顧客データ収集と、ステークホルダー別に最適化されたコンテンツの配信が可能です。顧客の理解促進や、複雑な意思決定の効率化といった観点から、BtoB企業のWebマーケティング導入は大きなメリットがあるといえます。
長期のセールスサイクルに対応
BtoBでは検討から成約まで長期間を要することが多く、この間の潜在顧客の動向把握が課題となります。Webマーケティングでは、Webサイトの行動履歴や広告の反応など、顧客データを継続的に収集・分析できます。営業とも連携し、良質なリードの確実な受け渡しなど、クロージングまでの長期サイクル全体をカバー可能です。
複雑な意思決定プロセスの効率化
BtoBでは一般的に製品やサービスが高額になり、複数の関係者が調達の意思決定に関与します。Webマーケティングでは、経営層、技術者、購買担当者など、それぞれの役割や関心事項に合わせた、最適なコンテンツの提供が必要不可欠です。経営層にはROIやコスト面を重視した情報、技術者には機能面の解説情報など、ステークホルダーそれぞれのニーズに応えます。
顧客の理解促進
BtoBの製品やサービスは高度な専門性を持つため、顧客への丁寧な説明が極めて重要です。Webマーケティングでは、さまざまなコンテンツ形式で製品の専門性を効果的に伝えます。たとえば、専門技術の解説を掲載したWebページや、実際の操作方法や活用事例をまとめたハウツー動画などで、製品の詳細を解説します。
グローバルな事業展開
BtoB企業にとって、海外進出は重要な成長戦略の一つです。しかし、従来の広告やセールス活動では、言語の壁や地理的な制約から海外での訴求が困難でした。Webマーケティングは、そのような障壁を克服できます。多言語対応のWebサイトを作成し、世界中からアクセス可能にすれば、言語の違いを問わず世界に向けて製品やサービスをPRできます。
ニッチ市場でタッチポイント増加
BtoBビジネスでは、必ずしも激しい市場競争があるわけではなく、需要がニッチで特化している場合があります。Webマーケティングでは、ニッチな需要へキーワードSEO戦略などにより、しっかりとアプローチできます。
Webマーケティングの具体的手法
手法 | 目的 | 具体的施策 |
---|---|---|
SEO対策 | 検索エンジンからの流入増加 | ・キーワード最適化
・コンテンツ内部施策 ・外部施策(リンクビルディングなど) |
広告運用 | 能動的なリーチと訴求 | ・ディスプレイ広告
・動画広告 ・アドネットワーク広告 |
SNS活用 | 拡散と顧客対話 | ・X(旧Twitter)等の運用
・インフルエンサーマーケティング ・コミュニティ形成 |
コンテンツの配信 | 認知拡大とリード獲得 | ・ブログ記事の発信
・動画コンテンツ配信 ・WPやLP、事例集の作成 |
メール配信 | 顧客アプローチと関係構築 | ・メールマガジン発行
・ABテストとリスト分析 ・自動化ツールの活用 |
リスティング広告 | キーワード検索からの誘導 | ・Google広告の運用
・Yahoo!広告の運用 ・広告クリエイティブの最適化 |
Webマーケティングは、Webを起点として進めるマーケティング戦略です。ここでは、その細部の手法を解説します。
SEO対策
SEO対策は、GoogleやYahoo!などの検索結果で上位に表示されるために、Webサイトの設計や内容を最適化する取り組みです。具体的には以下のような施策を実行します。
【SEO対策の例】
- キーワード設定
- コンテンツ最適化
- 内部/外部リンク構造の改善
- サイト移行対策
- モバイル対応 など
検索結果順位が上がれば多くのリード流入が期待できます。
広告運用
広告運用は、検索エンジン広告、SNS広告、ディスプレイ広告など、さまざまなデジタル広告媒体を活用した、ターゲット顧客へのアプローチです。適切な運用によって、ブランドの認知度向上、リード獲得、売上拡大などの効果が期待できます。
SNS活用
X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、FacebookなどのSNSプラットフォームを通じてブランディングや販売促進を進めていきます。具体的には、公式アカウントでの情報発信、インフルエンサーコラボ、ソーシャル広告配信などを実施していきます。
コンテンツの配信
ブログ記事、動画、ポッドキャストなどのデジタルコンテンツを制作・配信することで、見込み顧客に価値ある情報を提供し、最終的に顧客化やファン化を目指します。集客力を発揮するには、ユーザーのニーズを捉えた質の高いコンテンツを継続的に生産することが重要です。
メール配信
顧客の属性や興味関心に合わせたメールを配信することで、顧客とのコミュニケーションを活性化し、リピート購入や商品・サービスの利用促進につなげます。メリットは、リーチの高さとコストパフォーマンスです。また、セグメント配信が可能なため、顧客属性に合わせたきめ細かいアプローチができます。
リスティング広告
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページ上で、特定のキーワードに応じて表示される広告のことです。キーワード選定、入札価格設定、広告文面の最適化など、運用には専門知識が求められます。成果を求めるほどクリック単価が高額になりがちなので、予算に合わせた適切な設定をする必要があります。
Webマーケティング成功のポイントは?
ポイント | 効果 |
---|---|
顧客理解に基づく戦略策定 | ・顧客ニーズに合致した最適な施策設計
・明確な達成目標と確実な効果 ・成功の根幹となる顧客中心のアプローチ |
統合的な施策実行とデータ駆動型の改善 | ・複数チャネルで相乗効果による広範な顧客リーチ
・データに基づく的確な施策改善 ・継続的な売上/費用対効果の最大化 |
組織的な体制整備と経営陣の理解・支援 | ・専門人材による施策の適切な企画/実行
・リソースの長期的な確保 ・一過性ではない持続的な施策実現 |
Webマーケティングを成功に導くためにはどのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。ここではポイントを3つにまとめて解説します。
顧客理解に基づく戦略策定
ペルソナやカスタマージャーニーマップなどを活用し、ターゲット顧客の属性やペインポイント、製品へのニーズを多角的なデータから分析し、実態を正しく捉えます。その上でKPIとなる明確な数値目標を設定し、Webサイト改修やリスティング広告運用、コンテンツマーケティングなど、ペルソナにフィットした施策ミックスの構築が必要です。顧客理解は、Webマーケティングの成否を分ける極めて重要な起点となります。
統合的な施策実行とデータ駆動型の改善
単一のSEO対策やコンテンツマーケティングのみに頼らず、リスティング広告、メールマーケティング、ソーシャルメディア運用など、複数のWebマーケティング施策を統合的に組み合わせて実行していきます。
Web解析ツールを活用し、KPIデータや行動データなどを多角的に収集・分析することも大切です。これらのデータ分析に基づきPDCAサイクルを確実に回して、タイムリーに施策の改善や最適化を重ねることで、Webマーケティングの成功につながります。
組織的な体制整備と経営陣の理解・支援
Webマーケティングを成功に導くには、専任のWebマーケターやSEOコンサルタントなど、マーケティング人材を適切に配置し、Web解析から施策立案・実行までの業務プロセスを体系化する必要があります。
加えて、経営層の理解と支援を得ることは不可欠です。経営陣にWebマーケティングの重要性を説明し、長期的な視点から十分なマーケティング予算とリソース配分への合意を得ます。
まとめ
以上、BtoBにおけるWebマーケティングの役割、具体的手法、成功のポイントを解説しました。
Webマーケティングは、専門性の高いビジネスを展開するBtoB企業に必要不可欠な施策です。オーガニックな購入/契約には行き着きにくいBtoB製品・サービス情報を、より広範な層に認知してもらうことが期待できます。
株式会社エムアイエスでは、Webマーケティング施策の企画から運用まで、ワンストップでサービスを提供しております。Web分析やコンテンツ作成もお任せください。専門スタッフが丁寧にサポートさせていただきます。ぜひ、お気軽にご相談ください。