Z世代マーケティングとは?新時代に対応した企業戦略と成功事例
2024/05/31
独自の価値観を持つ「Z世代」が市場に与える影響は、ますます大きくなっています。ビジネスチャンスの拡大を図るうえで、「Z世代マーケティング」は大きな役割を果たします。
本記事では、Z世代マーケティングの概要、成功させるポイント、成功事例をまとめて解説します。
この記事を書いた人
松村昌典(中小企業診断士)
株式会社エムアイエス 代表
山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業
大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。
2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。
〈保有資格・認定〉
中小企業診断士
応用情報技術者
〈所属・会員情報〉
山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員
目次
Z世代マーケティングとは?
世代 | 生まれ年※1 | 特徴 |
ベビーブーマー世代 | 1946年~1964年 |
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X世代 | 1965年~1980年 |
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Y世代(ミレニアル世代) | 1981年~1995年 |
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Z世代 | 1996年~2010年 |
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α世代 | 2010年~ |
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Z世代マーケティングは、1990年代半ばから2010年代初めに生まれた世代をターゲットにしたマーケティング戦略です。Z世代はインターネットやスマートフォンが普及する時期に若年期を過ごしていることから情報リテラシーが高く、SNSを使ったコミュニケーションにも積極的です。
※1 明確な生まれ年区分は、専門家によって異なる場合があります。
Z世代マーケティングが重要とされる理由
Z世代が人口に占める割合は日本で約15%、全世界では約30%に上ります。企業は消費者層におけるZ世代の割合増加にしっかりと対応する必要があります。米国や新興国市場へ進出する企業にとって、Z世代マーケティングはとくに重要です。これらの国や地域では、Z世代の割合が高い傾向にあります。
また、Z世代は多様な価値観を持つことから、ニーズは細分化しています。従来のマスマーケティングによる集客アプローチでは限界があり、効果が十分に発揮できません。ターゲティングの精度を上げるうえでもZ世代マーケティングは大きな役割を果たします。
参照:統計局「人口推計」
参照:World Economic Forum「Generation Z will outnumber Millennials this year」
Z世代はさまざまなシーンでインターネットとスマートフォンを活用します。コストパフォーマンスや時間の効率的な使い方を追求し、手軽で便利なサービスを好みます。
一方で、共感できる事柄にはコストや時間をかけて深く関与していく傾向があります。社会的課題には高い関心を示し、SNSを利用したコミュニティ形成や情報発信にも積極的です。
Z世代マーケティングを成功させるポイント
Z世代マーケティングを成功させるポイントは以下のとおりです。
- 縦型コンテンツを活用
- サステナビリティの追求
- 共感を重視
- 情報公開
- 多様性を尊重
Z世代の特徴を踏まえて、具体的にZ世代マーケティングを成功させるポイントを5つご紹介します。効果的にZ世代マーケティングを進めるうえで重要なポイントとなります。しっかりと押さえておきましょう。
サステナビリティの追求
環境対策とビジネス成長を両立させるサステナブルビジネスは、高い社会貢献意識を持つZ世代の支持を集めます。サスティナブルな製品やサービス、サプライチェーン全体での環境保護に対する姿勢を示すことで、Z世代との信頼関係は深まります。
共感を重視
ユーザー同士のコミュニティ形成にはSNSが活用されます。とくに、最近注目されているSNSプラットフォームはDiscord※3です。一方で、TwitterやInstagram、Facebookも認知度の高いSNSであることから、コミュニティ形成を図る際は併用が推奨されます。
※3 Discord(ディスコード)はメッセージ機能だけでなく、ブロックチェーンを利用した投票機能なども利用できるSNSプラットフォームです。
Z世代マーケティングで有効な手法
Z世代マーケティングでは、とくにSNSの運用が有効な手法として注目されています。SNSを基盤として、プル型コンテンツの作成、インフルエンサーとの協業、UGCの活用、体験型イベント/セミナー開催などでZ世代に対するアプローチを強化していきます。
製品・サービスのレビューを伝えてくれるインフルエンサー※4は、Z世代に大きな影響を与えます。企業はインフルエンサーと協業することで、ブランドの認知拡大やZ世代との親和性アップが期待できます。
しかし、インフルエンサーと製品・サービスとのマッチングが不適切だった場合、ブランディングが阻害される可能性もあります。そのため、ターゲッティングされたZ世代の嗜好に合ったインフルエンサー選定が重要です。
インフルエンサーを選定/採用する際は、直接交渉の他にも代理店を通す方法、自社で育成する方法があります。自社リソースに応じて最適な方法を選んでいきましょう。
※4 インフルエンサー(Influencer)はSNS/インターネットで大きな影響力を持っている人物を指します。
UGCの活用
UGC※6は、ユーザー自身が作成したコンテンツです。UGCはレビューや口コミといったテキストタイプで配信されるものから、写真や動画で配信されるものまでさまざまな形式があります。とくに体験の共感を重視するZ世代に対しては、効果的なコンテンツです。
UGCがうまく機能すれば、Z世代との親和性向上や製品・サービスの理解促進、口コミによるリーチ拡大など大きなマーケティング効果が期待できます。一方で、UGCの運用がうまくいかない場合、ブランドイメージの毀損や顧客との信頼関係を損なうといったリスクも発生します。違法、もしくは悪意のあるUGCには、SNSプラットフォームへの通報などを含めた対応が必要です。
※6 User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ
Z世代マーケティングの成功事例
ここではZ世代マーケティングの成功事例を紹介します。Z世代は社会情勢やトレンドの変化にも敏感なので、時代に合わせてマーケティングを改善していくことが大切です。
アンダーアーマーはアメリカのスポーツ用品メーカーです。そして、「Protect This House」は、アンダーアーマーが20年前から展開している伝統あるキャンペーンです。「守るべきもの(家/チーム)」をモチベーションに競技者の闘争心を掻き立てます。しかし2023年、Protect This HouseのCMをZ世代に向けて大きくリニューアルしました。
個人の競争心からチームワーク重視のメッセージに軸足を移し、出演する人種や男女比率にも考慮がなされています。SNSを中心に大きな反響もあり、アンダーアーマーへの評価は高まりました。社会的課題に敏感なZ世代の共感と支持を狙った戦略転換といえます。
アディダスは、ドイツ発のスポーツ用品メーカーです。同社は2018年のワールドカップに向けた広告キャンペーン「Create the Answer」において、Z世代をターゲットとした独自のマーケティング戦略を展開しました。
広告では、アスリートやスポーツで影響力のあるクリエイターがチャレンジの大切さを伝えています。ストーリーや理念を重視するZ世代に対して、「挑戦者をサポートするスポーツ用品」というブランディングを成功させました。
イケア
イケアはスウェーデンで創業された家具メーカーです。イケアは専門学生を自社のワークショップへ招き、Z世代に直接アプローチしています。Z世代との信頼性構築やブランディングだけでなく、将来的な従業員確保にもつながる取り組みとして注目されています。
ワークショップに参加した学生は、イケア社員に対して製品展示や開発アイデア、マーケティング戦略などの提案をします。採用されたアイデアは実際の店舗経営や製品開発へ反映されます。
Z世代マーケティングの注意点
Z世代のニーズは細分化されて変化も早いため、企業は迅速に対応する必要があります。とくに、アプローチの画一性回避、最新情報を取り入れ、相互評価への備えが重要です。これらの点に注意しながら、Z世代マーケティングを進めていきましょう。
Z世代の特徴を掴んでマーケティングを成功させよう
以上、Z世代マーケティングの概要、成功させるポイント、成功事例をまとめて解説しました。Z世代はこれから購買力がさらに増していくと想定されています。Z世代への理解を深め、ビジネスチャンスの拡大を図っていきましょう。
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