多能工化とは?なぜ失敗する?メリット・デメリットと社員が疲弊しない進め方
2023/11/202024/09/11
「多能工化」とはひとりの社員が複数の業務をおこなえる状態を指します。
「マルチタスク化」とも言い換えることができ、現在では製造業以外にも流通業やホテル業などでも用いられています。
会社の仕組みづくりにおいて非常に有益な「多能工化」ですが、なかには仕組みづくりに失敗してしまうケースもあるようです。
本記事では多能工化が失敗してしまう原因を、失敗しない多能工化の方法とあわせて徹底解説します。
目次
多能工化はなぜ必要か
少子高齢化にともなう労働人口の減少で、中小企業は慢性的な人員不足に悩まされるケースが多いのではないでしょうか。ひとりが複数の業務をおこなう多能工化を導入することで、人手不足の解消や生産性向上につながります。
2019年4月より、国が年間5日の有休取得が義務付けるなど働き方改革が叫ばれる中、社員のワークライフバランスを保つためにも多能工化は有益となるでしょう。
多能工の反対は「単能工」
多能工がひとりで複数の業務をおこなうのに対して、ひとりが1つの業務をおこなうことを「単能工」といいます。従来の製造業では単能工が一般的でした。
単能工は担当業務のスペシャリストになれるメリットがある一方で、業務の属人化を誘発しやすい、組織の変化に対応しづらいといったデメリットもあります。
【多能工と単能工の違い】
多能工のメリット | 多能工のデメリット |
---|---|
製造ラインが効率化されるため省人化につながる | 社員への負荷が高い |
不測の事態に対応できる | 教育に時間がかかる |
ワークライフバランスにつながる |
単能工のメリット | 単能工のデメリット |
---|---|
高い技術を身につけられる | 業務の属人化を招きやすい |
いわゆる「職人」を目指すことができる | 組織としても柔軟な対応が難しくなる |
多能工化のメリット
多能工化を導入することにより、生産性や組織運営にメリットが発生します。
具体的なメリットは以下のとおりです。
多能工化のデメリット
多能工化はメリットも多いですが、すすめていく中でデメリットも発生します。
デメリットも把握した上で、多能工化のすすめ方を検討しましょう。
多能工化が失敗する原因5つ
多能工化が失敗する原因は、体制に起因するものと人材に起因するものにわけられます。
失敗する原因について理解を深めて、多能工化を成功させる参考にしてください。
社員が多能工化の必要性を理解していない
社員が多能工化の必要性を理解していないと、ただ負担が増えるだけと感じられてしまい、うまくいかないケースもあります。
短期的にすぐ業務が改善するわけではないが長期的にみたときにメリットがあること、社員自身の成長チャンスであることなど、多能工化の目的と効果をわかりやすく説明し、社員の納得が得られるようにしましょう。
失敗しない多能工化の進め方
多能工化を成功させるには、労使双方の納得と根拠に基づいた計画が重要です。
具体的には下記の5プロセスにわけられます。
多能工化についてのよくある質問
最後に、多能工化に関するよくある質問について解説します。
多能工化に成功した事例はありますか?
多能工化に成功したもっとも有名な事例はトヨタ自動車です。
そもそも多能工の概念を最初に考えたのは、トヨタ自動車の元副社長、大野耐一氏だといわれています。
豊田紡織出身の大野氏は、紡織工場の女性工員がひとりで複数の作業を受け持っているのに対して、自動車工場の社員は1つの作業しかしていないことに疑問を持ちました。これが多能工化のはじまりです。
他にも、製造業ではないですが、観光業界の大手である「株式会社星野リゾート」も多能工化に成功した企業のひとつです。
星野リゾートでは、すべての従業員がフロント、レストランサービス、客室掃除、調理補助の4つの業務を担当できるように多能工化を進めました。多能工化を取り入れるにあたって紆余曲折あったものの、最終的には生産性向上と社員満足度向上の両方を実現できたのです。
正しい多能工化で経営陣も社員も満足度アップ
多能工化に失敗してしまう原因は、教育体制や管理体制の不適によるところが大きいです。
きちんと教育プログラムを組み、随時見直しを行うことで、多能工化の成功に近づきます。
正しい方法で多能工化に取り組めば、生産性向上とワークライフバランスの両方が可能です。
会社の経営改善にも社員の働きやすさにもつながる多能工化に、是非取り組んでみてください。
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