多能工化とは?なぜ失敗する?メリット・デメリットと社員が疲弊しない進め方

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多能工化とは?なぜ失敗する?メリット・デメリットと社員が疲弊しない進め方

多能工化とは?なぜ失敗する?メリット・デメリットと社員が疲弊しない進め方

2023/11/202024/03/22

「多能工化」とはひとりの社員が複数の業務をおこなえる状態を指します。

「マルチタスク化」とも言い換えることができ、現在では製造業以外にも流通業やホテル業などでも用いられています。

会社の仕組みづくりにおいて非常に有益な「多能工化」ですが、なかには仕組みづくりに失敗してしまうケースもあるようです。

本記事では多能工化が失敗してしまう原因を、失敗しない多能工化の方法とあわせて徹底解説します。

多能工化はなぜ必要か

少子高齢化にともなう労働人口の減少で、中小企業は慢性的な人員不足に悩まされるケースが多いのではないでしょうか。ひとりが複数の業務をおこなう多能工化を導入することで、人手不足の解消や生産性向上につながります。

2019年4月より、国が年間5日の有休取得が義務付けるなど働き方改革が叫ばれる中、社員のワークライフバランスを保つためにも多能工化は有益となるでしょう。

多能工の反対は「単能工」

多能工がひとりで複数の業務をおこなうのに対して、ひとりが1つの業務をおこなうことを「単能工」といいます。従来の製造業では単能工が一般的でした。

単能工は担当業務のスペシャリストになれるメリットがある一方で、業務の属人化を誘発しやすい、組織の変化に対応しづらいといったデメリットもあります。

【多能工と単能工の違い】

多能工のメリット
多能工のデメリット
製造ラインが効率化されるため省人化につながる
社員への負荷が高い
不測の事態に対応できる
教育に時間がかかる
ワークライフバランスにつながる
単能工のメリット
単能工のデメリット
高い技術を身につけられる
業務の属人化を招きやすい
いわゆる「職人」を目指すことができる
組織としても柔軟な対応が難しくなる

多能工化のメリット

多能工化を導入することにより、生産性や組織運営にメリットが発生します。

具体的なメリットは以下のとおりです。

業務負担を平準化できる

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柔軟な業務体制が可能になる

多能工化によって社員が複数業務のスキルを身につけると、企業としても顧客のニーズに対して柔軟な対応ができるようになります。

会社の戦略変更や市場のニーズ変化が発生した場合、単能工だと社員をあらためて教育しないといけません。多能工だと必要な技術にあわせて柔軟な人員配置ができるため、速やかな業務体制の構築が可能となります。

顧客のニーズに応えるには、製造現場の迅速で柔軟な対応が必要です。長期スパンでみても多能工化は企業にとって有益だといえます。

業務の可視化につながる

多能工化を進めるには教育プログラムの作成が必要です。教育プログラムを作成するには、それぞれの業務内容を正確に把握する必要があるため、業務の洗い出しが必須となります。

その結果、各部署の業務が可視化され、業務における問題点や改善点の発見につながるのです。

多能工化をすすめるなかで業務改善のヒントが得られるため、会社全体の生産性向上や品質改善にも大きく役立ちます。

急な欠員や退職に対応できる

ひとりの社員が複数のスキルを有することにより、急な欠員や退職者が出た場合に柔軟な対応が可能となります。

とくに中小企業など人員に余裕がない職場だと、ひとりの欠員が大きな損失につながりかねないため、労働力のリスク分散において多能工化は非常に有益といえるでしょう。

社員一人ひとりの負荷が分散されることにより、単能工化と比較すると職員間の業務調整がしやすくなるため、休暇の取得もすすめやすくなります。多能工化はワークライフバランスの観点でもメリットです。

チームワークが向上する

社員それぞれが複数の業務に携わることにより、社員自身に多角的な視点が生まれるため、お互いの業務への理解が深まります。

人間はどうしても自分の体験したこと以外は他人事として捉えがちです。さまざまな業務に携わることによって、それぞれの業務の大変さが理解できるため、助け合いの精神からチームワークの向上が見込まれるでしょう。

多能工化のデメリット

多能工化はメリットも多いですが、すすめていく中でデメリットも発生します。

デメリットも把握した上で、多能工化のすすめ方を検討しましょう。

教育に時間がかかる

多能工化最大のデメリットは、教育に時間がかかることといっても過言ではありません。

他の業務で高いパフォーマンスを発揮している社員でも、業務が変われば技術の習得からはじまります。そのため教育期間中は、該当業務の戦力として劣ることは避けられません。

教育期間中の生産パフォーマンス低下を踏まえた上で実施計画を検討する必要があります。

社員のモチベーション低下リスクがある

人間はなにかをやり遂げたときに強い達成感を得られます。達成感は仕事のモチベーションとなり、やる気につながります。

ところが多能工化がうまくいかずに、さまざまな業務が中途半端にしか習得できない場合、達成感を得られにくく仕事のモチベーションが低下するかもしれません。

多能工化が失敗する原因5つ

多能工化が失敗する原因は、体制に起因するものと人材に起因するものにわけられます。

失敗する原因について理解を深めて、多能工化を成功させる参考にしてください。

教育体制がととのっていない

多能工化の実現には、体系化した研修や根拠に基づいたOJTの計画が必須です。多能工化の実現を急ぐあまり、中途半端な教育を行ってしまうと、結果的に多能工化が失敗する傾向にあります。

十分な研修がないまま現場に放り出されると、いくら能力の高い社員でも困惑します。多能工化に取り組む際には、教育の重要性を十分に理解することが重要です。

教育にかける時間や十分なフィードバック体制など、教育にかける時間も必要です。業務の洗い出しを行い、必要な要素を過不足なく研修プログラムに組み込むようにしましょう。

評価基準がみえない

せっかく頑張って技術を身につけたにもかかわらず、上司から評価されず、給料も上がらなければ社員のモチベーションは低下します。最悪の場合、不満を持った社員が離職してしまうケースも考えられます。

社員の離職は避けなければなりません。評価基準を可視化できるようにし、労使ともに納得のいく人事評価システムを構築しましょう。

業務量が多すぎる

会社は収益性をあげるために、能力の高い社員に対して多くの業務を課してしまう傾向にあります。いくら優秀な社員でも、業務負荷がかかりすぎるとパンクしてしまうかもしれません。

一時的に収益性は改善するかもしれませんが、長い目でみたときに会社にとって有益とは言い難い状況でしょう。

定期的に社員と面談を行い、適切な業務量の把握に務める必要があります。

社員の適性を理解していない

マルチタスクは向き不向きがあります。社員のなかには、コツコツと同じ作業をすることで能力を発揮する人材もいるでしょう。

社員の適性を無視した、画一的な多能工化の推進はオススメできません。多能工(ジェネラリスト)を目指すか、単能工(スペシャリスト)を目指すか、社員の意向を汲んで人材育成できる組織がベストです。

社員それぞれの適性を活かした業務配置が、多能工化を成功させるカギとなります。

社員が多能工化の必要性を理解していない

社員が多能工化の必要性を理解していないと、ただ負担が増えるだけと感じられてしまい、うまくいかないケースもあります。

短期的にすぐ業務が改善するわけではないが長期的にみたときにメリットがあること、社員自身の成長チャンスであることなど、多能工化の目的と効果をわかりやすく説明し、社員の納得が得られるようにしましょう。

失敗しない多能工化の進め方

多能工化を成功させるには、労使双方の納得と根拠に基づいた計画が重要です。

具体的には下記の5プロセスにわけられます。

社員への説明

まずは社員との合意形成が重要です。会社の現状と多能工化によって得られるメリットをわかりやすく説明します。

このプロセスがきちんとできていると業務改善がスムーズに行えます。

業務の洗い出し

まずは業務の洗い出しを行います。

ポイントは、大項目から洗い出しをしていくことです。部署ごとにおおまかな業務を洗い出し、順を追って細部に渡って洗い出します。部署から個人へ洗い出すイメージです。

大まかな部分は比較的簡単に洗い出せますが、細かな業務の洗い出しは意外と難しいかもしれません。綿密なヒアリングが成功のカギです。

業務とスキルレベルの可視化

洗い出した業務を定量的に算出します。各部署・各個人ごとの負担を、定量的に誰でもわかる形であらわすことが重要です。

さらに、社員それぞれの業務習熟度(スキルレベル)を明らかにし、個別にスキルマップを作成します。スキルマップとは、社員それぞれの業務習熟度を図や表で可視化したものです。

教育計画とマニュアルの作成※スキルマップ

可視化した業務内容と社員のスキルレベルをもとに、教育計画を作成します。社員の意見を聞き取り、現場の状況にあった課題設定や計画が重要です。教育計画に沿って、社員教育を進めます。

マニュアル作成も行います。口頭での指導のみだと指導方法にバラつきが出るリスクがあるため、マニュアルを整備し、誰でも同じように指導を行えるようにしましょう。マニュアル作成時は、読み手を意識して必要に応じて図などを用いるのがポイントです。

定期的な振り返り

スキルマップを用いて、社員それぞれの習熟度を確認します。社員と面談を行い、技術の習熟度や社員のモチベーションを確認します。あらかじめ年間計画などで振り返りの時期を決めておくとよいでしょう。部下と上司のコミュニケーションの場にもなるため、振り返りは非常に重要です。

マニュアルの見直しも必要です。業務に即しているか、内容に過不足はないかなどを見直し、現場で使用しやすいマニュアルにしましょう。

多能工化についてのよくある質問

最後に、多能工化についてのよくある質問について解説します。

多能工化に成功した事例はありますか?

多能工化に成功したもっとも有名な事例はトヨタ自動車です。

そもそも多能工の概念を最初に考えたのは、トヨタ自動車の元副社長、大野耐一氏だといわれています。

豊田紡織出身の大野氏は、紡織工場の女性工員がひとりで複数の作業を受け持っているのに対して、自動車工場の社員は1つの作業しかしていないことに疑問を持ちました。これが多能工化のはじまりです。

他にも、製造業ではないですが、観光業界の大手である「株式会社星野リゾート」も多能工化に成功した企業のひとつです。

星野リゾートでは、すべての従業員がフロント、レストランサービス、客室掃除、調理補助の4つの業務を担当できるように多能工化を進めました。多能工化を取り入れるにあたって紆余曲折あったものの、最終的には生産性向上と社員満足度向上の両方を実現できたのです。

多能工化が進まない理由はなんですか?

多能工化が進まない大きな理由は、教育に時間とコストがかかることです。

とくに中小企業など人手が足りない職場では多能工化を取り入れたくても、目の前の仕事をこなすのに精一杯で、多能工化に踏み込めない現場もあります。

本来であれば多能工化によるメリットを大きく受けられる層であるだけに、もったいないことです。

正しい多能工化で経営陣も社員も満足度アップ

多能工化に失敗してしまう原因は、教育体制や管理体制の不適によるところが大きいです。

きちんと教育プログラムを組み、随時見直しを行うことで、多能工化の成功に近づきます。

正しい方法で多能工化に取り組めば、生産性向上とワークライフバランスの両方が可能です。

会社の経営改善にも社員の働きやすさにもつながる多能工化に、是非取り組んでみてください。

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