製造業の見える化とは?可視化との違いは?メリットやポイントを解説

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製造業の見える化とは?可視化との違いは?メリットやポイントを解説

製造業の見える化とは?可視化との違いは?メリットやポイントを解説

2023/11/062024/03/22

最近「見える化」という言葉をよく見かけませんか?新しい言葉にみえますが、発祥は1998年にトヨタ自動車の岡本渉氏が発表した「生産保全活動の実態の見える化」という論文です。

キャッチーな響きも相まって様々な分野で使われるようになりましたが、言葉の広がりとは裏腹に、本当の意味や目的を知っている人は少ないのではないでしょうか。この記事では「見える化」についての疑問点を徹底解説します。

見える化の目的とメリット

見える化はトヨタの改善活動の中から発生した言葉で、「状況を常に見える状態にしておき、問題を即座に明らかにできる状態にし、迅速な問題解決を行う」ことを意味します。ここでは見える化を行う目的やメリットを説明します。

不具合発生時に素早く対応できる

不具合への対応の遅れは様々なロスにつながるため、不具合への対応スピードがロス軽減のカギだといっても過言ではないでしょう。不具合が発生したらモニターに表示されるなど、必ず作業員の目に入る状態にすると、違う業務に取り組んでいてもリアルタイムで不具合に気付けるため、不具合に対する迅速な対応が可能となります。その結果、ロスの軽減や生産性向上につながります。

エラーを未然に防げるようになる

見える化は予知保全にも大きく役立ちます。見える化によってエラーの共有と対策が繰り返されると、それぞれの現場で起きやすいエラーの傾向が掴めるようになります。その結果、エラーを未然に防げるようになるでしょう。見える化でエラーの傾向を掴み対策することで、生産性の向上につながります。

IoTを用いると、効率的にエラーを未然に防げるようになります。IoTとは、さまざまなデバイスや機器がインターネットにつながり、データを収集・共有するシステムです。このIoTが工場内で大量のデータを収集し、それを分析することで、生産の効率化や問題の早期発見が可能となります。

属人化の防止になる

仕事内容の見える化ができていないと、各工程の情報共有が難しくなります。その結果、他部署が何をしているか分からなかったり、部署内でも情報共有が不十分になったりして、属人化が発生してしまいます。
人手不足の解消や業務効率化には属人化の改善が欠かせないため、見える化を行うことで属人化の防止になり、業務効率化につながるでしょう。

社員のスキルアップにつながる

業務内容や社員のスキルを見える化することで、社員の能力を客観的に判断できます。そのため社員の技術獲得の進捗状況や、達成すべき課題が明確になるため、指導する側も指導される側も共通の認識を持つことができ、効果的な人材育成につながります。

習熟度について表や図を用いてスキル管理表を作成し、常に本人が見られる状態にすることで、課題が明白になるだけではなく動機付けにもなります。但し、誰もが見えるところに成績表を貼り出すのはプレッシャーの原因となるため避けましょう。

見える化の具体例

見える化について分かったものの、自分の職場でどのように見える化に取り組むべきかピンとこない方もいるでしょう。ここでは見える化について具体的な例を用いて説明します。見える化に取り組む上で参考にしてみてください。

あんどんによる異常事態の見える化

「あんどん」とはトヨタ生産方式のひとつで、もともとは異常に気付いた社員がスイッチを押すことにより点灯するランプのことでした。現在ではランプが電光掲示板に変更されており、より分かりやすく異常を知らせるシステムとなっています。

異常を即座に知らせることは見える化において非常に重要です。どの職場も全く同じシステムを採用するのは現実的ではないため、それぞれの職場に適した異常発生時の迅速な周知システムを検討しましょう。
参照:トヨタ自動車「トヨタ生産方式|詳細解説‐柱‐」

生産進捗状況の見える化

生産設備にセンサやカメラを取り付けてIoT化することで、設備の生産進捗状況を把握できます。過去のデータと照らし合わせることで、現在の稼働率が適正であるか、客観的データを元に判断できるようになります。

リアルタイムかつ客観的に進捗状況を把握できるため、ロス時間が正確に分かる、指示が出しやすくなる、部署間での状況把握が容易になるなどのメリットがあるため、生産管理の視点で役立つでしょう。

 

設備保全業務の見える化

DX化が可能な環境であれば、IoTを利用し設備保全に関わるデータを収集し、最適な点検サイクルや修繕サイクルを割り出します。それぞれの現場に適した形で見える化することで、効率的な保全業務が可能となります。

すぐにDX化が難しい現場では、例えば設備の目立つ場所に前回の修理時期と次回修理時期を貼り付けるだけでも、設備保全業務の見える化につながるでしょう。

見える化を実現する4ステップ

見える化にあたって重要なのは、取り組む手順です。適切な手順を踏まずに見える化を行っても効果は出づらいです。ここでは実際に見える化を行う手順を解説します。

1.目的を明確にする

目的を明確にすることは、見える化に取り組む上で一番重要だといっても過言ではありません。何が問題となっているのか、どうすれば解決するのかを具体的な言葉や数値で提示することで、効果のある見える化につながります。

見える化はあくまでも生産性向上や業務効率化の手段です。見える化自体が目的とならないようにするためにも、目的の明確化は必須です。

2.見える化が可能な環境を構築する

見える化が可能な環境を構築するにはDX化が非常に有効です。デジタルを利用することで正確な見える化が可能となるためです。様々なシステムやIoTデバイスがあるため、1で定めた目的に沿ったものを選びましょう。

もし社内にITに詳しい人材がおらずDX化が難しい場合は、外部コンサルティング会社に相談をするとよいでしょう。ただ、システムやIoT機器を導入すると不具合時に対応する必要があるため、見える化の取り組みを機に社内でIT人材を育成するきっかけにしてはいかがでしょうか。

しかし、IT技術が使えなくてもアナログな方法で見える化をすることは可能です。どうしてもIT技術を導入できない場合は、現場の知恵と工夫で見える化が可能な環境をつくりましょう。

3.ルールを徹底する

見える化する環境が整ったら、見える化のルールを社内で徹底します。ここで重要なのは、ルールを周知する際に現在の問題点を説明することです。根拠を知らされることなく突然ルールだけを押しつけられると、人は反発心が沸くものです。社員一人ひとりに、現在の問題点と見える化の必要性を伝えることで、スムーズに理解を得られるでしょう。

4.データの分析をする

見える化に取り組み始めたら、データを収集します。製造業の基本は改善ですが、見える化についても改善が必要です。業務の改善具合を可能な限り定量的にデータ化します。IoTやシステムを利用して見える化していれば、簡単にデータ収集ができます。

集めたデータをもとに、改善結果を分析をします。定量的データに加えて現場の意見を取り入れて分析するとよいでしょう。分析結果をもとに効果的かつ現場の社員が働きやすい見える化となるよう改善を続けます。

見える化を行うポイント

見える化を行う上で重要なポイントを解説します。

「見せる化」にならないようにする

「見せる化」とは、業務に関するデータをいつでも確認できる状態にすることです。メリットとしてデータ収集やモニタリングが容易になることが上げられますが、見える化と違ってパソコンなどを開かないと見えない状態なので、意図しないと見ることができません。そのため、状態や不具合を瞬時に知らせることはできず、見える化と比較すると生産性向上には劣ります。システムやIoTを導入する際は、見せる化で終わらないか注意して選びましょう。

必ずしも見せる化が悪いわけではありません。見せる化された資料は、分析作業や研修、外部発表では非常に有効です。見える化と見せる化の違いを理解し、データや資料を適切に運用しましょう。

現場の意見をモニタリングする

見える化には客観的データが必要不可欠ですが、現場の意見も重要です。管理職がデータだけを見て方針ややり方を決めても、それが現場に合っているとは限りません。現場の数だけ見える化の方法があり、それを模索するには現場で働く人の意見が必要です。ある程度の舵取りは管理職がする必要がありますが、現場の意見を取り入れてこそ、本当に有益な見える化になります。もしも職場に現場の意見を聞き入れない風潮があれば、時には現場の社員から声を上げる必要もあるでしょう。

見える化についてよくある質問

最後に、見える化についてよくある質問を集めました。見える化に取り組む際に参考にしてください。

見える化と可視化の違いってなんですか?

日本にはもともと可視化という言葉があり、見える化という言葉に違和感を持つ人も多いようです。しかしその意味は異なります。

広辞苑には可視化の意味は載っていませんが、可視とは「肉眼で見ることができること」となっています。そのため可視化とは肉眼で見られる状態と定義できます。見える化は広辞苑によると「〔俗〕企業活動などで、現場の問題点などを客観的に把握できるように視覚化すること」となっており、問題解決のために視覚化するという意味合いがあります。また俗語であるため、定義があいまいなのは否定できず、製造業以外ではしばしば混同した使われ方をされているのも事実です。しかし製造業においては、見える化という言葉の独自の意味が重要となるため、区別して使いましょう。

製造ラインの見える化はできますか?

はい、可能です。もともと「見える化」とは工場の生産ラインから始まりました。製造ラインの問題点を全員が見えるようにすることで、工場全体の見える化となります。生産性向上のみならず、業務効率化による職員のモチベーションアップにもつながります。システムやモニターを使って、瞬時に異常が分かるようにしましょう。

正しい「見える化」で生産性をアップさせよう

製造業から始まった見える化ですが、現在では医療やサービス業など様々な分野で使われています。しかし本当の意味を理解していないために、効果的な見える化ができていない場面があるのも事実です。

見える化の肝は、自動的に、勝手に目に入る状態をつくることです。

見える化を理解して、業務効率化と生産性向上につながる取り組みをしてほしいと思います。

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