【17次・18次公募対応】ものづくり補助金とは?概要や変更点をわかりやすく解説
2023/12/25
今回は、「ものづくり補助金」について、内容や申請のポイントなどを、中小企業診断士のプロの目線からわかりやすく解説していきます。
設備投資を考える際に、補助金を使いたいと思われる事業者の方は多いと思います。採択率が50~60%と比較的高いものづくり補助金をうまく活用することで、金銭的負担を減らすことができ、既存の事業の生産性向上や新規事業へのチャレンジがしやすくなりますので、ぜひ活用してみてください。
※この記事は令和5年12月27日公募開始の17次締切公募要領、令和6年1月31日公募開始の18次締切公募要領をもとに執筆しています。
この記事を書いた人
松村昌典(中小企業診断士)
株式会社エムアイエス 代表
山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業
大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。
2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。
〈保有資格・認定〉
中小企業診断士
応用情報技術者
〈所属・会員情報〉
山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員
目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、製造業だけでなく、様々な業種で利用することができます。
中小事業者の新製品・サービス開発を支援する補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等を対象に、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度など、様々な社会の変革に対応するため、新商品・新サービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善などを行い、生産性を向上させるための設備投資を支援する補助金です。
応募の際には、要件を満たした事業計画を作成し、導入する設備でどのような事業を行い、どのような成果が出るのかなどを詳しく記載します。その内容が審査され、採択・不採択が決まりますので、事業計画の内容が非常に重要となってきます。
公募要領
公募要領は、ものづくり補助金総合サイトに掲載されています。応募する回により要件が変わることがありますので、公募要領は常に最新のものをチェックしてください。
令和5年12月27日より、第17次ものづくり補助金の公募が開始されました。17次公募要領より、枠組みの変更など大幅な変更点があります。公募要領を読み解くのは大変ですが、本コラムでは公募要領をわかりやすくまとめています。ぜひご活用ください
17次公募以降の変更点
17次公募の申請枠の再編に伴い、変更点がいくつかあります。
申請枠の再編
17次公募要領より、ものづくり補助金の申請枠が大幅に変更されました。
【17次公募以降ものづくり補助金の申請枠】
申請枠 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
省力化(オーダーメイド)枠 | 5人以下 750万円(1,000万円) 6~20人 1,500万円(2,000万円) 21~50人 3,000万円(4,000万円) 51~99人 5,000万円(6,500万円) 00人以上 8,000万円(1億円) | 中小企業 1/2 小規模・再生 2/3 |
製品・サービス高付加価値化枠
通常類型 | 5人以下 750万円(850万円) 6~20人 1,000万円(1,250万円) 21人以上 1,250万円(2,250万円) | 中小企業 1/2 小規模・再生 2/3 新型コロナ回復特例 2/3 |
製品・サービス高付加価値化枠
成長分野進出類型(DX・GX) | 5人以下 1,000万円(1,100万円) 6~20人 1,500万円(1,750万円) 21人以上 2,500万円(3,550万円) | 2/3 |
グローバル枠 | 3,000万円(3,100万円~4,000万円) | 2/3 |
以前は5つの枠だったものが、今回の公募要領より4つの枠・類型となっています。
17次締切の公募では「省力化(オーダーメイド枠)」のみ公募対象で「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」については18次締切の公募で募集されます。17次締切の公募に応募すると18次締切の公募に応募できないため、注意が必要です。
新旧の申請枠対応イメージは以下表のとおりです。
16次締切までの申請枠 | 17次締切以降の申請枠 |
---|---|
通常枠 | 省力化(オーダーメイド)枠 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 各枠のオプション的扱い |
(該当なし) | 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型) |
デジタル枠 グリーン枠 | 製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX)) |
グローバル市場開拓枠 | グローバル枠 |
賃上げにかかる補助上限額引き上げ特例
16次公募までは、大幅賃上げを実施する場合は「回復型賃上げ・雇用拡大枠」として申請枠のひとつの扱いでした。
17次公募より、「賃上げにかかる補助上限額引き上げ特例」として、各枠のオプション的扱いとなります。
口頭審査の追加
17次公募より、補助申請額が一定規模以上の申請をおこなう事業者を対象に、オンラインでの口頭審査が実施されることになりました。
事業者自身が主体性をもって事業計画書を作成したかを確認するためのもので、事業計画書の内容や、至った背景などを聞かれることが予測されます。申請者自身が対応する必要があり、コンサルタントなど支援者の同席は不可です。申請者以外の同席が確認された場合は不採択となります。
審査方法はZoomなどのオンラインツール使用で、口頭審査の日時は前もって指定されます。口頭審査に出席しないと不採択になるため、必ず出席しましょう。
口頭審査の実施期間は以下のとおりです。
公募 | 期間 |
---|---|
17次公募 | 2024年4月1日(月)~2024年4月12日(金) |
18次公募 | 2024年4月24日(水)~2024年5月15日(水)※4月30日~5月2日を除く |
第17次締切ものづくり補助金(省力化(オーダーメイド)枠)の概要
省力化(オーダーメイド枠)は、人手不足解消のために、デジタル技術を活用した専用設備を導入する際に利用できる補助金です。決められた設備から選ぶのではなく、それぞれが必要な設備を選定し導入する必要があるため、この名称となっています。
機械や装置を導入するだけでは補助金の対象とならず、デジタル技術を活用した設備であることが重要です。
また設備投資は、必ず単価50万円(税抜き)以上の機械装置等を取得する必要があります。
省力化(オーダーメイド)枠の補助金額と補助率
省力化(オーダーメイド)枠の補助金額と補助率
補助金額は従業員数によって上限がかわります。従業員数が多いほうが補助上限額も多く設定されています。
さらに17次締切公募より、大幅な賃上げ※に取り組む事業者は補助金額が引き上げられます。人数が多い企業ほど比例して引き上げ幅が大きくなっているため、この補助金を機に賃上げに踏み切ることで人材流出防止につながるでしょう。
※大幅な賃上げとは、事業実施期間中の賃金上昇率が年間6%程度を維持することとなっています
従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ実施時の補助金額 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円~750万円 | 100万円~1,000万円 |
6~20人 | 100万円~1,500万円 | 100万円~2,000万円 |
21~50人 | 100万円~3,000万円 | 100万円~4,000万円 |
51~99人 | 100万円~5,000万円 | 100万円~6,500万円 |
100人以上 | 100万円~8,000万円 | 100万円~1億円 |
補助金額が1,500万円まで | 1,500万円を超える部分 | |
---|---|---|
中小企業者 | 1/2 | 1/3 |
小規模事業者 | 2/3 | 1/3 |
補助率は中小企業と小規模事業者で違い、小規模事業者のほうが補助率が高く設定されています。
小規模事業者は、5人もしくは20人の会社、または個人事業主を指します。詳細は「小規模事業者・小規模企業者」の項で解説していますのでご参照ください。
省力化(オーダーメイド)枠の申請要件
省力化(オーダーメイド)枠の申請には、基本要件を満たした上で、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること
- 3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること
- 外部Slerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSler間で締結し、Slerは必要な体制を整備すること
省力化(オーダーメイド)枠の申請要件
それぞれ解説します。
労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定する
省力化(オーダーメイド)枠は、設備投資によって労働生産性を向上させることが最重要です。そのため、設備投資で自動化や省力化した結果、生産性が2倍以上となる事業計画を策定する必要があります。
労働生産性は以下の式で算出します。
労働生産性=付加価値額/(労働人数×労働時間)
※付加価値額の算出が困難な場合は生産量を用いる
※※完全自動化の場合は(労働日数×労働時間)を便箋的に0.1とする
事業計画期間内に投資回収可能な事業計画を策定する
設備投資などにかかった費用を、事業計画期間内に回収できる事業計画を策定する必要があります。
投資回収年数の計算式は以下のとおりです。
「投資額/(削減工数×人件費単価)」
削減工数や人件費単価が大きいほど分母が大きくなり、事業計画における投資回収可能性がアップします。
外部SIerを活用する場合、保守・メンテナンス体制を整備する
SIerとは、システムの構築や導入など、システム開発すべてを請け負う企業を指す和製英語です。「エスアイヤー」と読みます。
省力化(オーダーメイド)枠の申請には、デジタル技術を用いた設備投資が必要不可欠です。そのため、システムを導入するケースが多くなることが予想されます。
中小企業や個人事業主ではシステム保守を内製化できない場合がほとんどです。そのため、あらかじめシステム保守・メンテナンスにかかわる契約をSlerと交わしておき、事前に必要な体制を構築しておく必要があります。
第18次締切ものづくり補助金の概要
2024年1月31日に18次締切ものづくり補助金の公募要領が発表されました。18次公募では、製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠について募集されます。
以下の記事にて、18次ものづくり補助金について詳しく解説しています。併せてご覧ください。
ものづくり補助金の補助対象経費
ものづくり補助金では設備やシステムの購入費用と、それにかかる費用が補助対象経費です。「機械装置・システム構築費」以外の経費は、総額で500万円(税抜き)までが補助上限額となります。
【17次・18次公募ものづくり補助金の対象経費】
対象となる経費 | 詳細 | 上限額 |
---|---|---|
機械装置・システム構築費 ※単価50万円(税抜き)以上の設備投資を行うことが必須 | 機械、装置、ソフトウェア、情報システムなどの購入、製作、リース、レンタル、改良・修繕、据え付けに要する経費 | |
技術導入費 ※上限額は補助対象経費総額(税抜き)の3分の1 | 対象経費総額(税抜き)の3分の1 本事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費 | 1/3 |
専門家経費 ※上限額は補助対象経費総額(税抜き)の2分の1 | 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費 | 1/2 |
運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費 | |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する経費 | |
原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費 | |
外注費 ※上限額は補助対象経費総額(税抜き)の2分の1 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の 一部を外注(請負、委託等)する場合の経費 | 1/2 |
知的財産権等関連経費 ※上限額は補助対象経費総額(税抜き)の3分の1 | 新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用、外国特許出願のための翻訳料 等の知的財産権等取得に関連する経費 | 1/3 |
海外旅費 ※グローバル枠の輸出に関する事業のみ | 海外事業の拡大・強化等を目的とした、事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊などの経費
対象経費総額(税抜)の1/5 | 1/5 |
通訳・翻訳費 ※グローバル枠の輸出に関する事業のみ | 事業遂行に必要な通訳及び翻訳を依頼する場合に支払われる経費 | 1/5 |
広告宣伝・販売促進費 ※グローバル枠の輸出に関する事業のみ | 製品・サービスの海外展開に必要な広告の作成及び媒体掲載、展示会出展等、ブランディング・プロモーションに係る経費 | 1/2 |
ものづくり補助金の対象事業者
ものづくり補助金の対象は、中小企業等経営強化法第2条第1項に基づいた中小事業者でした。しかし資本金や従業員数の縛りにより、開発力のある中堅中小企業はものづくり補助金の対象となりませんでした。そのため、せっかくよいアイデアがあっても資金不足がネックとなり、実行に踏み切れない企業が多くあったのです。
国は対象外の中小企業をすくい上げるべく、中小企業等経営強化法、第2条第5項に規定されている会社や個人をものづくり補助金の対象にしました。
これにより資本金の上限が10億円未満(従来は5000万円~3億円)と、開発力や企業体力のある企業も補助金の対象となり、多くの中小企業にチャンスが与えられるようになりました。中堅中小企業は開発や改善のベースが整っていることが多く、補助金を生産性向上に最大限活かすことができるため、国にとっても企業にとってもメリットがあります。
上述した中小企業者のほか、事業協同組合、協業組合、企業組合、商店街振興組合、生活衛生同業組合などの中小企業組合も対象です。
対象となる事業者の条件を解説していきます。
中小企業者または個人事業主
公募要領によると、ものづくり補助金の対象は以下の条件に当てはまる企業です。
「従業員数が下表の数字以下となる会社又は個人(「中小企業等経営強化法」第2条第5項に規定されている特定事業者)のうち、資本金の額又は出資の総額が10億円未満である事業者」
業種 | 常勤従業員数 |
---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 500人以下 |
卸売業 | 400人以下 |
サービス業又は小売業(ソフトウェア業、情報サービス業、旅館業を除く) | 300人以下 |
その他の業種(上記以外) | 500人以下 |
業種によりますが、従業員数が300~500人以下で資本金が10億円未満の企業は、ものづくり補助金の対象となります。
中小企業者(組合・法人関連)
会社の形を取らない、組合や法人も、ものづくり補助金の対象です。
ただし、財団法人や社団法人、医療法人などは補助対象となりません。
補助対象となる組合・法人については下記の表をご参照ください。
組織形態 |
---|
特定非営利活動法人(従業員数が300人以下) |
社会福祉法人(従業員数が300人以下) |
企業組合 |
協業組合 |
事業協同組合、商工組合連合会 |
商店街振興組合、商店街振興組合連合会 |
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会 |
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会 ※1 |
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会 ※2 |
内航海運組合、内航海運組合連合会 ※3 |
技術研究組合 ※4 |
※1~4につきましては詳細条件がありますので、公募要領をご確認ください。
小規模企業者・小規模事業者
小規模企業者・小規模事業者とは、常勤の従業員数が5人または20人以下の会社、または個人事業主をいいます。
補助金の補助率が2/3と高いため、補助金を申請するメリットが大きいのが特徴です(通常は1/2)。
ただし、補助事業実施中に社員数が21人以上になった場合は小規模事業者でなくなるため、交付決定後でも補助率が1/2となります。注意しましょう。
詳しくは以下の表をご参照ください。
業種 | 常勤従業員数 |
---|---|
製造業その他 | 20人以下 および個人事業主 |
商業・サービス業 | 5人以下 および個人事業主 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 および個人事業主 |
ものづくり補助金の基本要件
ものづくり補助金の基本要件は3つあります。
- 事業者全体の付加価値額を年平均成長率(CAGR)3%以上増加
- 給与支給総額を年平均成長膣(CAGR)1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金プラス30円以上の水準にする
基本要件を満たすには、上記3項目について3~5年の事業計画を策定している必要があります。
応募申請時点で賃上げ計画を従業員に表明していないことが発覚すれば、補助金の全額返還を求められるため、注意が必要です(再生事業者は除く)。
3項目についてそれぞれ解説します。
付加価値額を年3%以上増加させる
ものづくり補助金の事業計画期間中、事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる必要があります。
付加価値額の計算方法は以下のとおりです。
【法人の場合】
以下の金額を合計します。
- 営業利益
- 人件費
- 減価償却費
【個人事業主の場合】
以下の金額を合計します。
- 差引金額(33)
- 利子割引料(22)
- 給料賃金(20)
- 福利厚生費(19)
- 減価償却費(18)
※()内の数字は個人事業主青色申告決算書における該当番号です
個人事業主では、営業利益と人件費は以下のように計算されます。
【個人事業主における営業利益と人件費の計算方法】
営業利益=「差引金額」+「利子割引料」
人件費=「給料賃金」+「福利厚生費」
よって、法人も個人事業主も、付加価値額は「営業利益」と「人件費」と「減価償却費」の合計ということになります。
給与支給総額を年1.5%増加させる
事業計画実施期間中、給与支給総額を年平均成長率1.5%増加させる必要があります。
給与支給総額は、給与、賃金、賞与のほか、各種手当(残業手当、休日種委員手当、職務手当、扶養手当、地域手当など)の合計で、給与所得とされるものになります。所属する社員全員分(役員や非常勤社員含む)の給与支給総額の合計が前年度より1.5%以上の増加が必要です。
給与支給総額増加率の代わりに、1人あたり賃金の増加率の提示でも問題ありません。
事業計画終了時点において、給与支給総額を年1.5%以上増加できなかった場合、補助金の一部返還を求められます。
事業場内給与水準が地域最低賃金から30円以上増加させる
事業場内で最も低い賃金を、いわゆる最低賃金より時給換算で30円以上高くする必要があります。
例.
2024年1月の山口県最低賃金…928円/時間
この場合、給与水準を958円/時間にする必要がある
地域最低賃金から30円以上増加できていない場合も、補助金の一部返還を求められます。
ものづくり補助金の活用事例
ものづくり補助金の活用事例を紹介します。ものづくり補助金総合サイトには、多数の活用事例が掲載されています。業種や設備名などで検索ができますので、補助金活用の参考にされてみてください。
鉄道車輌部品製造業
鉄道車両部品を製造している会社で、海外からの受注や国内車輌の更新など需要の高まりに対して生産性を向上させるため、生産管理システムを導入。
製造原価管理や売上予測の精度があがり、生産性が向上し、付加価値向上につながりました。
参考:中小企業庁|ミラサポplus 事例詳細「積極的な設備投資と独自の生産管理システムにより付加価値と生産性の向上を実現」
果樹園
果樹園を経営する農家が補助金を活用して、地域特産品の金柑を密閉冷凍するための「急速冷凍機」を導入。
生とほぼ同じ品質・鮮度を保ったまま長期保存が可能になり、全国・海外に販路を拡大することができました。
採択されるポイント
ものづくり補助金には、採択・不採択を判断するために、事業計画の内容の審査項目と加点項目が決められています。これらを満たすような事業計画を作成できるかどうかが、採択・不採択の分かれ道になります。ここでは、採択されやすくなるポイントについて解説します。
事業計画書には加点項目を盛り込む
ものづくり補助金は、採択・不採択を決めるため、審査員が事業計画の内容を採点していきます。その際に加点となる項目があり、これをきちんと押さえておくことで、採択される可能性が高くなりますので、実施できる項目は必ずやりましょう。
主な加点項目は、以下のようなものです。
・ 有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者
・ 創業・第二創業後5年以内の事業者
・パートナーシップ構築宣言を行っている事業者
・有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者
・要件に合致する賃上げを計画し、誓約書を提出した事業者
・「えるぼし認定」を受けている事業者
経営革新計画の承認のように、時間がかかるものもありますので、ものづくり補助金を申請する際は早めに加点項目の準備に取り組みましょう。
自社の想いをアピールする
ものづくり補助金では、事業計画を審査する際に見られる審査項目があります。ものづくり補助金で取り組みたい内容が、新製品・新サービスの革新的な開発となっているか、地域の経済成長につながる事業となるかなど、ものづくり補助金を使って事業を実施することで、高い成果が出ることが期待されています。
ですので、ただ「この機械がほしい」というだけでなく、「この機械がなぜほしいのか」「この機械があることでどんな課題が解決できるのか」「この機械があったらどんな成果が出せるのか」など、自社の想いを具体的に事業計画書に落とし込み、アピールしていくことが重要です。
ものづくり補助金申請の注意点
ものづくり補助金を申請する際に、いくつか注意点があります。申請した後に慌てることのないよう、事前に確認しておきましょう。
単価50万円以上の設備投資が必須
ものづくり補助金に応募するためには、単体価格50万円(税抜き)以上の整備投資を行う必要があります。具体的には、機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用や、補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費などが、単体で50万円(税抜き)以上である必要があるので、少額の機械を複数台購入したいという場合には、補助事業の対象となりません。
補助金は後払い
ものづくり補助金では、採択されてすぐに補助金がもらえるわけではありません。設備やシステム等がきちんと導入され、事業が完了したことをものづくり補助金事務局が現地確認した後に、支給されるようになります。
補助金がもらえる前に、設備等の代金を全額支払う必要がありますので、自己財源でまかなえない部分を銀行で借入するなど、よく検討し段取りをした上で応募することをおすすめします。
事業終了後も状況報告が必要
ものづくり補助金では、事業が終了した後5年間は、事業の状況を報告する義務があります。報告は、毎年会計年度終了後60日以内に行う必要があり、報告を忘れてしまうと、補助金の返還を求められたり、今後他の補助金に応募できなくなったりと、ペナルティがありますので、補助金をもらって終わりではなく、報告義務があることを忘れないようにしましょう。
ものづくり補助金についてのよくある質問
ものづくり補助金に関するよくある質問について、解説します。
ものづくり補助金は、個人事業主でも応募ができる?
ものづくり補助金は、個人事業主でも要件を満たしていれば応募することができます。
ただし、技術面のハードルや財務状況などにより個人事業主の採択は厳しい傾向にあるのが実情です。
ものづくり補助金の採択率は?
ものづくり補助金の採択率は、回によって30%から60%と大きく変わりますが、8次募集から15次募集の採択率は平均で57%となっています。比較的高い採択率ですが、言い換えると4割の事業者は不採択となってしまいますので、しっかりとした事業計画の作成が必須です。
ものづくり補助金の入金のタイミングは?
ものづくり補助金の支給までの大まかな流れは、事業で必要な設備を導入→代金支払い→事業報告書の作成・提出→ものづくり補助金事務局の現地確認→補助金確定→補助金精算払請求を提出→補助金入金となっています。補助金精算請求を提出したら1週間程度で入金されますので、設備導入と支払が終わったら、速やかに事務処理をすることで、入金のタイミングを早めることができます。
ものづくり補助金の申請はプロに相談しよう
ものづくり補助金は、新しい設備やサービスを導入し、生産性を向上させたいとお考えの事業者の皆さんに、非常におすすめの補助金です。
補助率は、事業費の1/2から2/3となっており、枠によっては最大4,000万円が交付されるため、設備投資の際にはぜひチャレンジしていただきたいと思います。
採択の鍵は、事業計画の内容がどれだけ審査項目に合致しているかと、加点項目をどれだけ満たしているかにあります。
当社は、ものづくり補助金について熟知しているプロの中小企業診断士がおりますので、申請をお考えの際には、ぜひご相談ください。