Webマーケティングの手法とは?種類ごとに特徴とメリットを解説
2024/05/07
Webマーケティングはリード獲得から契約まで、企業のマーケティング業務を効率化させます。Webマーケティングの手法は多岐にわたるため「それぞれの特徴やメリットがわかりにくい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Webマーケティングの主要な手法を6つ紹介し、それぞれの特徴やメリットを詳しく解説します。
この記事を書いた人
松村昌典(中小企業診断士)
株式会社エムアイエス 代表
山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 立命館大学経済学部卒業
大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。ものづくり補助金事務局を9年間担当。
2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。経営コンサルタントとして支援した企業はのべ1,000社以上。ITやマーケティングに関する知見の深さと、柔軟な発想力による補助金獲得支援に定評がある。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。
〈保有資格・認定〉
中小企業診断士
応用情報技術者
〈所属・会員情報〉
山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員
目次
Webマーケティングとは
Webマーケティングは、インターネットを活用したマーケティング手法の総称です。SEO対策やSNSの活用、広告運用、コンテンツ配信など、企業の目的に合わせてさまざまな手法を組み合わせて実施します。
Webマーケティングはデータを基に施策を決定・実行するため、ターゲティング精度が高く、効果測定も容易です。顧客行動の詳細なデータ分析に基づいて、施策の最適化を効率的に実施できます。
- インターネット利用者の増加
- スマートフォンの急速な普及
- 従来のマーケティング手法の限界
近年、インターネット利用者の急増とスマートフォンの普及により、消費者の購買行動が大きく変化しています。多くの人が日常的にWeb検索を利用し、商品やサービスについて調べるようになりました。不特定多数の消費者に対して、一方的に情報を発信する従来のマーケティング手法では、消費者のニーズに迅速かつ柔軟に対応することが難しくなってきています。そこで有力なソリューションとして注目されているのが「Webマーケティング」です。
Webマーケティングを利用することで、消費者の検索履歴や興味に基づいたマーケティングが可能になり、より効果的にターゲット層にリーチできるようになります。
【従来のマーケティングとWebマーケティング比較表】
項目 | 従来のマスマーケティング | Webマーケティング |
対象 | 不特定多数 | 細分化されたターゲット |
手法 | テレビCM、新聞広告 | SEO、SNS、メール配信など |
コスト | 高い | 低い |
効果測定 | 不透明 | 明確(データ駆動) |
継続性 | 一過性 | 持続的 |
Webマーケティング手法の種類
Webマーケティングには、SEO対策、広告運用、SNS活用など、多くの手法があります。それぞれの特徴を理解し、企業の目的に合わせて最適な手法を組み合わせることで、大きな相乗効果を発揮できます。
それぞれの特徴を下表にまとめました。
【Webマーケティングの種類別特徴】
種類 | 具体的取り組み | 主に期待される効果 |
SEO対策 | キーワード選定、ページ最適化 | 検索上位表示 |
広告運用 | 検索広告、ディスプレイ広告 | 認知度向上 |
SNS活用 | SNS投稿、反応 | 情報の拡散 |
コンテンツの配信 | ブログ、YouTube | 信頼獲得 |
メール配信 | メルマガ配信、リードナーチャリング | 顧客維持 |
リスティング広告 | キーワード連動型の検索連動型広告 | 広告の効率化 |
種類ごとに詳しく見ていきましょう。
手法 | SEO対策 |
目的 |
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主な取り組み |
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メリット |
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注意点 |
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SEO対策は、Webの検索結果において上位表示を獲得するための施策です。キーワード選定やサイト構造の最適化、魅力的なコンテンツ制作などに取り組むことで、自社サイトの集客力とブランド認知度の向上を図ります。
SEO対策では、Googleの検索アルゴリズムの変化に合わせて、柔軟に対応し続ける必要があります。最新のSEO情報を積極的に収集し、常に最適な施策を講じていきましょう。
SEOに関する情報源として、「Google検索セントラル ブログ」をおすすめします。Google検索セントラル ブログはGoogle公式のオウンドメディアであり、最新のSEO情報を掲載しています。
手法 | 広告運用 |
目的 |
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主な取り組み |
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メリット |
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注意点 |
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広告運用は、集客やブランド認知の向上を図る上で即効性の高い施策です。Web上で表示されるディスプレイ広告やSNS広告、動画広告などがあり、ターゲットに合わせた最適な広告チャネルを選択することで効果は高まります。広告の掲載場所、表現、配信設定(時間)などの調整も重要です。ターゲティング精度の向上につながります。
一方で、広告費用と運用管理は企業にとって継続的な負担となるので注意が必要です。広告代理店を利用する場合は、サービス利用料も発生します。
手法 | SNS活用 |
目的 |
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主な取り組み |
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メリット |
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注意点 |
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SNSの活用は、広告やSEOのように一方通行の取り組みではありません。企業と顧客とのコミュニケーションが重要になります。企業側もコンバージョンを示すことで、情報の拡散性は高まります。口コミ、UGC※2といったユーザー発信のコンテンツも活用していきましょう。実体験に基づいたコンテンツは製品やサービスへの信頼性を向上させます。
一方で、SNSの拡散性が「炎上」を発生させることもあるので注意が必要です。企業側は法的な対応だけでなく、コンプライアンスや国や地域の文化や価値観にもしっかりと配慮しなければなりません。
※2 UGC(User Generated Content)はユーザー、消費者が作成するコンテンツの総称です。
手法 | コンテンツの配信 |
目的 |
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主な取り組み |
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メリット |
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注意点 |
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コンテンツ配信は、教育的またはエンターテインメント性の高い情報を配信することにより、顧客を引き付けるWebマーケティング手法です。広告のように直接的な集客を目指すのではなく、顧客の問題解決やサポートを優先します。
コンテンツの具体例として、商品の使用方法を詳細に解説した記事、動画配信があります。商品の特性や具体的な使用方法を記事や動画でイメージアップでき、比較検討段階の資料として有効です。
コンテンツは掲載、配信して終わりではありません。継続的な更新が重要になります。古い情報は顧客からの信頼を損なうだけでなく、SEOの観点からもマイナスです。定期的にコンテンツを見直し、改善を図りましょう。
手法 | メール配信 |
目的 |
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主な取り組み |
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メリット |
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注意点 |
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メール配信は、なんらかの方法で入手したメールアドレス宛に、メール配信をするマーケティング手法です。インターネット通販で購入履歴のある顧客宛に、継続的にお知らせメールを送る施策などが該当します。
メール配信では、ターゲットに合わせたコンテンツを送ることが可能です。顧客ニーズや過去の行動に基づいたメールを継続的に送信することで、高いコンバージョン率が期待できます。
一方で、スパムと見なされるリスクや、受信フォルダの中で埋もれてしまう可能性も考慮する必要があります。メール配信を成功させるには、キャッチ―で魅力的な件名、関連性の高いコンテンツの掲載、そして定期的な配信スケジュールが重要です。
手法 | リスティング広告 |
目的 |
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主な取り組み |
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メリット |
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注意点 |
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リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページや特定のウェブサイト上で表示されるキーワード連動型の広告です。ユーザーのタイムリーなニーズに応じた広告を提供することで、高いクリック率が期待できます。
一般的な広告配信が不特定多数に対して行われるのに対し、リスティング広告は明確な検索意図を持つユーザーに対してのみ表示されるため、よりターゲットを絞ったアプローチが可能です。
課題に応じたおすすめのWebマーケティング手法
マーケティングフェーズごとの課題に応じて、それぞれのWebマーケティング手法を活用していきましょう。一つの手法だけでなく、いくつかの手段を連動させて効果を最大化することが大切です。
初期フェーズではSEOや広告で集客し、コンテンツマーケティングで商品やサービスへの興味/理解を深めてもらいます。最終的なクロージング後も、リピート契約/購入を促すことが重要です。優良顧客化のフェーズでは、メールマガジンなどを活用して定期的に顧客にカスタマイズされた情報を届けましょう。優良顧客化は企業の長期的利益につながります。
【フェース別おすすめのWebマーケティング手法】
フェーズ | おすすめのWebマーケティング手法 | 期待できる効果 |
集客 | SEO活用、広告運用 | 潜在顧客へアプローチ |
リードジェネレーション | コンテンツの配信
リスティング広告 |
リードとのコンタクト |
リードナーチャリング | メール配信
コンテンツの配信 SNS活用(UGC/口コミ) |
信頼関係構築 |
クロージング | コンテンツ配信 メール配信 |
商談成立率の向上 |
優良顧客化 | コンテンツ配信
メール配信 |
顧客生涯価値の最大化 |
Webマーケティングをサポートするツール
Webマーケティングを効果的に進める上で、サポートツールは大きな役割を果たします。アクセス解析ツール、SEOツール、競合分析ツール適切に使用し、データ駆動の取り組みを進めていきましょう
Google AnalyticsやGoogle Search Consoleは、Googleが無料で提供するツールです。Googleアカウントを保有しているユーザーであれば、誰でも使用できます。SEOはGoogle対策といった側面もあるので、Google公式のデータ解析ツールはしっかりと活用していきましょう。
【代表的なWebマーケティングツール】
分類 | ツール例 | 代表的機能 |
アクセス解析ツール |
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サイトアクセス数/ユーザー属性/ ページ滞在時間把握 |
SEOツール |
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SEO施策の立案・効果検証 (ランキング推移/サイトのSEO状況など) |
競合分析ツール |
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競合サイトのWebトラフィック評価
有力キーワードのフィルタリング 広告配信状況の分析 |
Webマーケティングの展望
Webマーケティングでは、これから動画配信の重要性が高まると予想されます。また、新たなデジタルドメインとして「メタバース※3」にも注目です。
※3 メタバース…インターネット上の仮想空間のことです。
動画配信の重要性
動画はブランディングや集客、リード獲得など、Webマーケティングのさまざまな目的に合わせて活用できる強力なコンテンツです。
とくにショート動画の人気は高く、手軽に制作と配信が可能なため、多くの企業がコンテンツマーケティングに導入しています。
大手化粧品メーカーである資生堂はメークアップシーンをショート動画で公開しており、化粧時に気軽に参考できるコンテンツとして話題を集めています。
次世代のWebマーケティングドメイン
Webマーケティングの新領域として「メタバース」は有望です。仮想店舗の構築やAR体験の提供などで、ユーザーとの新しい接点ポイント構築が期待できます。すでにNIKEやadidasなどのスポーツ衣料品メーカーは、スニーカーのAR試着サービスなどを展開しています。
メタバース体験にはXRデバイス※4が必要になることもありますが、WebAR(Webベースの拡張現実)といった、専用デバイスを必要としない技術もあります。WebARはスマートフォンやタブレットから気軽にアクセスできるため、Webマーケティングの有力な手法として注目が集まっています。
※4 XRデバイスとは、頭に装着して、目の前に仮想空間を表示するディスプレイです。代表的なものにVRゴーグルがあります。
まとめ
以上、Webマーケティングの主要な手法、それぞれの特徴やメリットを解説しました。
Webマーケティングには、SEO対策、広告運用、SNS活用、コンテンツ配信、メール配信、リスティング広告など、さまざまな手法があります。それぞれの特徴とメリットを理解し、企業戦略や課題に合わせた最適な施策を進めていきましょう。