生産ロスゼロを目指す!製造業におけるロスと対策について解説します

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生産ロスゼロを目指す!製造業におけるロスと対策について解説します

生産ロスゼロを目指す!製造業におけるロスと対策について解説します

2023/10/262024/03/22

製造業で利益向上を目指す上で悩みのタネとなるのが生産ロスです。限りある資源と時間、マンパワーをいかに有効活用するかで向上の利益率は変わるため、製造業に携わるのであれば生産ロスの知識は必要不可欠です。この記事では生産ロスの種類とロス対策について徹底解説します。

効率を阻害する7大ロス

製造業には16大ロスと呼ばれるロスがあります。それを細分化したときに設備効率に関するものを7大ロスといいます。ここでは製造業の7大ロスについて説明します。

故障ロス

突発的に発生する故障が原因のロスです。本来なら稼働していた時間のロスと、機械の修理にかかる費用のロスが発生します。また故障直前の機械で生産した製品は不良の可能性が高いため、原材料のロスが発生する可能性が高いです。

突発的な故障を防ぐことは難しいですが、機械の経年劣化やメンテナンス不備による故障は防ぐことができます。定期的に点検を行い、機械による大きな事故が起こらないようにしましょう。

段取り・調整ロス

ある製品の生産終了後、別の製品を生産する準備にかかる時間ロスです。ロット変更などによる調整にかかる時間ロスも含まれます。

大幅な改善が難しいロスのひとつですが、スムーズに次の作業に取りかかれるように事前準備が重要です。

刃具交換ロス

ドリルやフライスなどの刃具の付け替えによって生じるロスです。刃具の交換による時間ロスや、刃具の故障であれば不良品が発生するため原材料ロスが発生します。

素早い刃具の交換はもちろん必要ですが、ロスを防ぐには耐久性のある刃具を採用することが重要です。

立上りロス

設備が稼働するまでにかかるロスのことです。立上りまでの時間ロスと、安定稼働するまでに不良品が発生した場合の原材料ロスがあります。休日などで設備が長時間停止していた場合、正常運転するまで時間がかかるため、ロスが発生しやすいです。

始業してすぐに生産を開始するには、事前に動作確認を兼ねた試運転が効果的でしょう。

チョコ停・空転ロス

チョコ停とは、ちょっとしたトラブルの対処で生じる時間ロスのことです。空転ロスは、何らかの原因で設備が空転することで生じる生産ロスのことを指します。

「一時的な停止で修理を伴わないもの」「2,3秒〜5分未満」と軽微なロスですが、何度も繰り返されると影響は大きくなります。頻度が目立つようであれば、原因究明をすべきでしょう。

速度低下ロス

設備の速度が遅いために生じる時間ロスです。この場合の「遅い」とは「設備の設計スピードと比較して遅い」場合と「現在の技術水準と比較して遅い」場合があります。原因として設備の劣化や古い設備を使用し続けていることが挙げられます。

不良・手直しロス

不良品の発生による生産ロスと不良品の手直しにかかる時間ロスのことをいいます。応急処置だけではなく、不良発生の根本原因を突き止めて対処することが重要です。

シャットダウンロス

設備の計画休止のために発生する時間・生産ロスです。オーバーホールなど時間をかけて整備するときに発生するロスです。

7大ロスと合わせて8大ロスといわれることもありますが、シャットダウンロスは設備の正常稼働のために必要であり、7大ロスの内容とは意味合いが異なるため、独立した扱いとしています。

人の効率化を阻害する5大ロス

ここでは16大ロスのうち、人に関するロスについて説明します。5大ロスともいいます。

管理ロス

指示待ちや故障修理待ち、材料待ちなど管理上生じる手待ちロスのことです。段取りを改善することで対策できます。

動作ロス

動線が悪く移動時に遠回りをさせられる、整頓されていないため道具を探すのに時間がかかるなど、動作の非効率で発生するロスのことです。

編成ロス

工程の手順が悪く手待ちが発生するなど、作業の編成の不備により発生するロスのことです。

自動置き換えロス

機械などで自動化できるはずの業務を人の手で行うことで生じる時間ロスです。設備の大がかりな変更は費用も手間もかかりますが、手作業で行っている事務処理などを見直すことで対策できます。

測定調整ロス

品質不良を防止しようとするあまり、頻繁に測定や調整を行うせいで生じる時間ロスです。

根拠に基づいて必要な作業だけを行うことで対策できます。

原単位を阻害する3大ロス

ここでは16大ロスのうちの原単位、すなわち製品を作るのに必要なエネルギーや労力に関するロスについて説明します。3大ロスともいいます。

歩留まりロス

歩留まりロスとは、バリ取りなど加工によって発生する原材料のロスのことです。素材重量と製品重量の差により求めることができます。

改善には材料をムダなく使い切る工夫が必要です。

エネルギーロス

電力や燃料、水などエネルギーが有効活用されずロスが発生することを意味します。エネルギーの使用状況を見直し、最適化を図りましょう。

型・治工具ロス

製品を作るために必要な型や治具などの補修や制作によって生じる金銭ロスのことです。切削油や薬品などの金額もここに含める場合があります。治具や型は永久的に使えるものではないため修理や買い替えが必要となり、この費用が多くかかりすぎることでロスが発生します。

改善には型や治工具の質の見直しが有効です。

ロス対策に効果的なTPM

TPMは製造業における代表的なロス対策です。正式にはTotal Productive Maintenanceと表記され、全員参加の生産保全を意味します。ロスをゼロにすることを目標とし、「人」と「設備」に着目した全員参加型の取り組みが特長です。

TPMの5つの基本理念

TPMは下記の5つの基本理念によって構成されます。特に1と2についてはTPMの特徴的な考え方となります。

1.儲ける企業体質づくり
活動自体を目標とせず、収益の向上を念頭に置いて活動します。
2.予防哲学(未然防止)
ロスが発生してから対応するのではなく、ロスを予防するための活動をします。
3.全員参加(参画経営・人間尊重)
上層部だけが行う活動ではなく、全社員が参加することを重要視します。
4.現場現物主義
机上の空論ではなく、現場をみて現場の状況に即した議論をすることを重要視します。
5.常識の新陳代謝
過去や業界の慣習に囚われずに、常識を打ち破っていく姿勢が求められます。

TPMの8つの柱

TPMは8つの柱によって構成されています。それぞれの内容を行うことで、ロスを最小限に食い止めることができる仕組みです。

1.個別改善
生産ラインや設備ごとのロスを調査し定量化して、ロスを減らし「真のもうけ」を得る活動です。個別的にすることで細かなロスも見逃しません。
2.自主保全
ロスを防ぐと同時に、自ら自部署の設備を守る自主性を築くことを狙いにしています。作業者一人ひとりの行動変容が求められます。
3.計画保全
今後劣化する部分の補修計画を、系統的かつ長期的視点で立案します。設備の故障低減や寿命延長が目的です。故障時の迅速な復帰や保全費の適正化にもつながります。
4.初期管理
製品の開発段階で、今後発生し得るロスを予想して開発を行い、ロスの発生を最小限に食い止めます。
5.品質保全
製造工程の最適化や製造設備の条件を整え、不良品やそれに伴うクレームによるロスを防ぐ活動です。製品の検査強化ではなく、仕組みを整えて不良品を防止するのがポイントです。
6.教育訓練
作業者に対して最適に教育や訓練を行えるように、仕事に必要な知識や技能を整理します。作業者のスキルアップで不良品やクレームゼロを目指します。
7.管理間接部門活動
管理部門や間接部門など、製造や生産管理に直接関わらない社員が、生産現場におけるロスの削減や予防について取り組むことです。
8.安全・環境管理
ゴミの排出量削減やCO2削減といった環境に配慮した職場環境づくりに取り組むと同時に、社員が安全・快適に働くことのできる環境づくりを目指す取り組みです。

TPM導入による効果

社員全員が保全活動に参加し、計画に沿ったメンテナンスを実施することで、細部まで目が行き届くため、ロスが減り効率的に高品質な製品の製造ができるようになります。

社員一人ひとりが当事者意識を持つことが重要視されるため、結果的に生産現場全体にロスゼロを達成する、前向きな雰囲気が形成されるのもメリットといえるでしょう。

TPM以外の生産ロス対策

TPM以外にも生産ロスを防ぐ方法はあります。ここでは3つの方法を取り上げ、説明します。

DX化

DX化とはデジタルを活用して仕事の効率化を図り、さらには企業文化や企業風土を変革し、競争で勝ち抜ける組織をつくることです。AIを活用して不良品を検出する、正確な製品検査システム、IoTデータを活用した作業動線の見直しなど、IT技術を活用することでロスゼロに近づけることができます。

社内でITに詳しい人がいない場合は、外部のコンサルタントに相談するとよいでしょう。機器導入だけでよいのか、それとも人材育成からした方がよいのかなど、プロの目からみた客観的なアドバイスがもらえます。

業務の分析と問題点の改善

製造業において、業務分析と問題点の改善は最重要といっても過言ではありません。生産ロス対策では、何が原因でロスが発生しているのかを分析し、どうすれば課題を改善できるかを分析して実行する必要があります。

より良い製品を少ないコストと労力で作るには、業務分析と問題点の改善は欠かせません。QCストーリーなどを用いると、ロジカルに過不足なく現状の分析ができるため、積極的に活用しましょう。

5Sの徹底

5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけを意味し、製造業の生産現場における、工場改善の基本となる考え方です。それぞれの頭文字のSをとって「5S活動」と呼ばれます。

整理整頓が行き届いてない現場だと、物品の位置が分からず時間ロスが発生したり、在庫管理ロスが発生したりと、生産ロスの原因の温床となります。日頃から5S活動を行い、ロスが少なく快適な職場環境を目指しましょう。

生産ロスに関するよくある質問

最後に、生産ロスに関するよくある質問を集めました。業務の参考にしてみてください。

歩留まり率とはなんですか?

歩留まり率とは、「投入した原料に対してできる完成品の割合」「生産数に対する良品数の割合」のことです。材料をムダなく製品にできた率と言い換えると分かりやすいでしょう。言葉の響きから、歩留まり率が高いと悪いようなイメージがありますが、歩留まり率が高い方が利益は大きくなります。

生産ロス率の計算方法は?

生産ロス率は、ロスの数÷全体の数×100で求められます。例えば製品Aを1000個作った時に不良品が20個混じっていた場合、計算式は20÷1000×100となり、答えは2となります。よって製品Aのロス率は2%です。

ロス率の目安は業種によって違うため一概に目安を提示することはできませんが、重要なのは過去の自社成績と比較した現在のロス率です。過去のロス率より少しでもロス率を下げることが大切です。

まとめ

生産ロス対策は、作業の細かい見直しや先のことを見据えた改善計画が多く、苦手意識を持つ方もおられるかもしれません。しかし今ある資源を活用して生産性向上を実現するには、生産ロス対策はかかせません。まずは5Sなどの取り組みやすいものから始めてみましょう。可能であれば会社全体でTPN活動に取り組めるとよいですね。

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