【カンコツ作業】なぜ伝承されない?匠の技を標準化する方法を徹底解説!

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【カンコツ作業】なぜ伝承されない?匠の技を標準化する方法を徹底解説!

【カンコツ作業】なぜ伝承されない?匠の技を標準化する方法を徹底解説!

2023/09/122024/03/22

「カンコツ」とはトヨタ生産方式の言葉のひとつで、「業務マニュアル化しにくい、熟練職人の技」を意味します。トヨタはカンコツ作業の標準化を徹底し、最終的に機械化することで、企業全体で高度な技術を獲得してきました。

中小企業においてもカンコツ作業の標準化は避けて通れません。この記事ではカンコツ作業を標準化する方法を中心に、カンコツ作業について徹底解説します。

カンコツ作業の伝承が進まない理由

現在、製造業において技能の伝承が大きな課題となっています。中でもカンコツ作業は匠の秘儀的な要素があるため、若手への伝承が難しいのが特徴です。ここではカンコツ作業の伝承が進まない理由を解説します。

「目で見て盗む」が難しい

かつて、ものづくりの指導といえば「目で見て盗み、身体で覚える」方法が主流でした。しかし最近の若手は、最初に流れを教えてもらってから、現場でも手取り足取り教えてもらうことが当たり前になっています。ベテランは若手に対して技を見て盗むことを期待しますが、それが今の若手には難しい状況です。どちらが悪いというわけではありませんが、双方の認識のズレがカンコツ作業の伝承を妨げている可能性があるでしょう。

多忙で教える時間がとれない

製造業は人手不足が深刻です。カンコツ作業を教えようとしても、日々の業務に追われて時間をとることが難しい現場も多いのではないでしょうか。それに加えてカンコツ作業を保有している熟練社員は高齢で定年が近いことも珍しくありません。カンコツ作業を若手に教えようと思っているうちに定年を迎えてしまった、というパターンも考えられます。

熟練社員自身が技術を抱え込んでいる

カンコツ作業は熟練社員が長い年月と日々の努力の結果、苦労して習得したものです。その技術を簡単に教えたくない気持ちが発生してもおかしくありません。職場における自分の優位性を保つために技術を自分だけのものにしている可能性もあります。

他にも、仕事への使命感から自分ひとりで技術を抱えている可能性や、教える手間がかかるからと持っている技術を若手に伝えないパターンもあるでしょう。

カンコツ作業を標準化する方法

カンコツ作業を標準化することで、職場全体で技術を共有でき、生産性の向上が期待できるでしょう。ここではカンコツ作業を標準化する方法を解説します。

標準化に必要な要素を意識する

トヨタでは作業手順書を作成するときに3つのポイントを記載します。

1つ目は手順です。どのような流れで作業をしているかだけではなく、どの工程でどの工具を使っているか、事前にどのような段取りを組んでいるかなども細かく記載します。

2つ目は急所です。これは仕事の成否を左右するポイントのことで、作業の内容を具体的に記載します。

3つ目は急所の理由です。カンコツ作業に対してなぜそうするのかを示す根拠や背景を明確にします。

この3つを意識してカンコツ作業の標準化に取り組みましょう。

技術を持っている本人にヒアリングをする

熟練社員本人に作業手順書を作成してもらい、それに対して不明な点を他の職員がヒアリングするとよいでしょう。熟練社員が作業手順書を作ることが難しい場合は、別の人が手順書のアウトラインを作成し、熟練社員に内容を補足してもらう形でヒアリングします。

インタビュアーには上司がよいとする意見と部下がよいとする意見がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、職場の状況や人間関係などを考慮して、それぞれの職場で適任者を選びましょう。

ビデオを撮らせてもらって分析する

ヒアリングだけで全てを捉えることができないときに有効なのが、ビデオを利用した分析です。熟練社員が意識していない部分まで映像で拾いあげることができるため、より客観的にカンコツ作業を分析することが可能となります。

ビデオ分析は複数人で行うようにしましょう。より多くの視点で分析できるため、分析の精度が上がります。できれば熟練社員本人にも映像を見てもらい、ビデオを見て発生した疑問点を直接熟練社員に質問すると効果的です。

カンコツを含めた作業手順書を作成するポイント

作業手順書は標準化した作業内容を全員に周知するのに必要不可欠です。適切に標準化を行っても、作業手順書が適切でないと十分に周知徹底することが難しく、標準化の効果が薄くなりかねません。ここでは作業手順書を作成するときのポイントを解説します。

作業ごとに見出しを分ける

作業手順書は作業中に参考にするものであるため、視覚的に分かりやすい必要があります。ダラダラと文章が書いてある作業手順書ではどこを参考にしてよいか分かりづらく、作業中に使用するには不便です。

大見出し、中見出し、小見出しを上手に使って、どこを読んだらよいか瞬間的に分かるような作業手順書を目指しましょう。

手順の根拠を記載する

カンコツ作業を作業手順書に含めるには、根拠の明示は必要不可欠です。根拠が明示されていないと理解が難しいだけでなく、突然の手順変更による現場の混乱を招きかねません。なぜそうする必要があるのかを確実に記載することで理解がしやすくなり、現場の同意も得られるようになります。

また、根拠が明示されていることで他の技術に応用させることが可能となり、更なる技術の発展につながる可能性もあるでしょう。

具体的な数値や指標で表現する

作業の内容を数値化することで誰もが共通して理解しやすくなります。作業についてデータを取り、それを解析すれば作業内容を数値化することが可能です。回数や時間は数値化しやすいですが、力加減などどうしても数値化できないものは、「ペットボトルを開けるときの力加減」など身近なものに置き換えるとよいでしょう。

改善が可能な体制にする

作業手順書は一度作成すれば完成ではなく、状況に合わせて改正していく必要があります。人員配置など職場の状況が変化していく中で、従来の作業手順書の内容がそぐわない場面も発生するでしょう。そのときに作業手順書が変更できない状態だと、業務に支障をきたしてしまいます。

また、実際に運用する中で改善点が見つかることもあるため、改善点を作業手順書に反映させられる体制にしておくことが必要です。

定期的な見直しの時期を決めておくなど、作業手順書は改正を前提に運用しましょう。

カンコツ作業を現場に定着させる方法

カンコツ作業を現場で活かすには、現場全体でのサポートやフォローが必要不可欠です。ここでは標準化したカンコツ作業を現場に定着させる方法を紹介します。

カンコツ作業の反復練習をする

技術や技能は現場で実践して覚えることが多いものの、難易度の高い技術だといきなり現場で実践することが困難な場合もあるでしょう。

対策として、特定の技術が必要な場面の設定を行い反復練習をすることが挙げられます。自動車の運転技術を身につけるときに、自動車学校でいきなり路上運転をするのではなく、まずは自動車学校内で実技練習をするイメージです。

OJTで習得機会を増やす

OJTでの技術教育は必要不可欠です。しかし業務中にその時々の仕事の仕方を教える方法だと、体系的な教育ができないため効果的な人材育成にはなりにくいでしょう。

習得してもらいたい技術を現場で多く体験できるように計画を立て、実施の確認・評価を受けられる体制にすると、教える方も教わる方も習熟度を共通認識できるようになるため、効果的な教育が可能となります。

熟練社員と若手のコミュニケーションを活発にする

最近の職場は製造業にかかわらず世代間のコミュニケーションは減少傾向です。多忙でコミュニケーションがとれないことや、ベテランと若手の世代ギャップが原因だと考えられます。

しかし、日々のコミュニケーションは人間関係を円滑にするだけではなく、日頃は聞くことのできない仕事のコツや知識を伝承できる絶好のチャンスです。熟練社員も若手もお互いに声をかけ合える職場が理想的ですが、まずは自分から話しかけるようにすることが重要でしょう。

忙しくて業務中に話をする時間がとれない場合は、ランチョンミーティングの開催も効果的です。

タイトル

カンコツ作業の内容自体は有益ですが、一部の人だけが技術を保有していることによるデメリットは大きいと言わざるを得ません。ここではカンコツ作業がもたらすデメリットを解説します。

特定の社員がいないと仕事が回らなくなる

特定の技能を持った社員に依存している工程がある場合、その社員がいないと仕事が滞ってしまいます。保全分野では、特定の担当者がカンコツ作業で故障やトラブルを解決していると、担当者がいないときに問題を解決できない場面が発生するリスクがあるでしょう。そうなると他の社員に迷惑がかかるだけでなく、企業全体の生産力低下につながってしまいます。

品質のバラツキにつながる

担当する作業者によって製品の質にバラツキがあると、会社として一定の品質を担保することが難しくなります。また工程にかかる作業時間が人によってバラバラだと、工程管理が難しくなり、業務効率低下につながりかねません。その結果、企業が提供する品質やサービスにバラツキが出てしまい、企業自体の評価が下がるリスクが発生します。

技術・技能が途絶えるリスクがある

製造業の大きな問題の一つとして、熟練社員の高齢化・引退が挙げられます。高度な技術が継承されないまま熟練社員が引退してしまうと、その技術や技能が途絶えてしまう可能性があるでしょう。高品質な製品を作っていた技能が失われてしまうため、企業としても大きな損失となりかねません。

カンコツ作業に関するよくある質問

最後に、カンコツ作業に関するよくある質問を集めました。カンコツ作業の標準化など日々の業務に役立ててください。

カンコツ作業を英語でいうと?

カンコツ作業に該当する英語の言い回しはありません。和英辞典によると、勘は「intuition」、コツは「tip」、仕事でコツを掴むことを「learn to ropes」といいます。

カンコツ作業という言葉は長年の経験に基づいたものというニュアンスがあるため、あえてカンコツ作業を英語で表現すると「intuition of a worker based on long experience」となるでしょう。

IoT技術をカンコツ作業の標準化に活かすことはできる?

IoT技術はカンコツ作業の標準化を行うにあたって非常に有益なものとなり得るでしょう。例えばアイトラッキングカメラという、人の瞳孔の動きをリアルタイムに検知してデータ化できるカメラを用いて、熟練社員が作業をするときの視線の動きを計測します。そのデータを標準化に活かすことで、より精度の高い標準化につながるでしょう。

保全分野では、センサーを使って肉眼では検出できない異常を感知することで、不具合が起こる前に対応できるようになります。熟練社員の「カンコツ」に頼っていた部分をセンサーで判断することで、機械による標準化が実現可能です。

IoT技術の導入で、カンコツ作業の標準化のみならず、ヒューマンエラー防止など現場のメリットは大きいでしょう。設備の導入には費用がかかりますが、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」などの公的な補助金に採択されれば、費用削減が可能となります。


参照:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト」

まとめ

カンコツ作業は高品質の製品を製造したり、さまざまなトラブルに対応できたりと、決して悪い面だけではありません。問題はそれを一部の人員だけで保有し続けることです。人員不足の今、このままだと貴重な技術が失われ、業界全体の低迷を招きかねません。

日本の製造業を世界で通用させるためには、熟練職人の技を受け継いでいく必要があります。カンコツ作業を後世に残すためには、カンコツ作業の標準化への取り組みが重要です。

 

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